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2024.04.10

CESとMWCから見えてきた世界のリアルと日本の課題
グローバルトレンドを13年ウォッチし続ける専門家が
2024年トレンド予測トップ10 を発表!

イベントレポート
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2024年3月6日(水)、東京・恵比寿にて、リアルイベント「SILICON VALLEY TREND NOW ~CESとMWCからみる2024年のトレンド~」が開催されました。2024年1月9日~12日に開催した世界最大級のテックの見本市「CES 2024」と、同年2月26日~29日にスペインのバルセロナで開催された世界最大級の携帯電話関連技術のイベント「MWC Barcelona 2024」。この2大イベントを、CES参加歴10年、グローバルのトレンドを13年ウォッチし続けてきた日立ソリューションズの市川 博一が視察。そこから独自に紐解いた「2024年のトレンド予測」を各5つ、合計10項目を厳選してピックアップし、期待と課題の両面からレポートしました。また、同イベントの参加者同士で新たなつながりや連携を深めてもらうための交流会も同時開催。今回はそれらの概要をお伝えします。

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    市川 博一

    株式会社日立ソリューションズ
    グローバルビジネス推進本部 戦略アライアンス部

    入社後、製造業向けSI、大手商社・サービス企業向け企画業務を担当。2010年からアメリカ・シリコンバレーへ赴任し、新規商材発掘業務を担当。2016年に帰国後は、アメリカでの活動支援やスタートアップ創出制度の設計・運用を担当。現在も年に10回ほど渡米し、現地でのトレンドをウォッチする。

CES 2024はAIとモビリティが会場の大半を占める

今年のCES 2024のテーマは「ALL ON」。"テクノロジーが我々の未来を形作る。CESはそのパワーを発見する場"というメッセージだ。市川は「テクノロジーとイノベーションで社会問題をどう解決し、サステナブルな社会をどう作るかにフォーカスされていたのが印象的でした。また、世界の消費者人口の4分の1を占めるZ世代を意識したプロダクト作りも多く見受けられました」と振り返る。

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CES 2024で市川が注目したトレンドの1つ目は「AI Is Everywhere」。今年のCESはどこもかしこもAIだらけだったという市川は、「特に大手ベンダーの多くはMicrosoft Corporation(以下、Microsoft)との連携を強化・拡大しており、同社が出資するOpenAIとコラボレーションしてChatGPTを活用するパターンが多かった印象です」と話す。Siemens AGはMicrosoftと提携しAzure OpenAIサービスを用いて自然言語でロボットを操作する技術を開発。Walmart Inc.はMicrosoftと生成AI分野の提携を発表し、商品の検索を自然語ベースに作り替えるという。一方、サイバーセキュリティのPalo Alto Networksや業務システムクラウドサービスのServiceNow, Incなどは生成AIとサブスクリプションがこれからの収益の源泉になると話しているという。

2つ目は「モビリティ」。CES会場の半分はモビリティで占められていたと語った。その中で多かったのが、自動運転とその車内でエンタメを楽しむためのイマーシブ(没入)感を演出する技術だ。本田技研工業株式会社は2026年に北米でリリース予定のEV新シリーズで空間価値や人車一体で操る喜びなどのコアバリューを提供するという。Volkswagen AGは、デジタル音声アシスタントにChatGPTを加えた機能拡張を搭載。操作をエンベデッド(組込みシステム)で処理するかクラウドに問い合わせるかをChatGPTが判断するという。

3つ目は「ヘルス・ビューティ・エイジテック」。今年のCESでは新たに化粧品会社などが独自技術を発表し、自分らしく生きる喜びや長生きなどにもつながるヘルス・ビューティ技術や、乳児から高齢者までさまざまな世代をテクノロジーで支えようというエイジテックが注目されていた。また、女性向けのテックデバイスも多数展示されていたという。

4つ目は「サステナビリティ 」。CES 2024ではサステナビリティはもはや当たり前の活動になっていた。Google LLCの「Google Nest Hub」や「Google Pixel 8」はリサイクルされたプラスチックやアルミニウムで製造。パナソニック株式会社はRedwood Materials, Inc.との協業でEVバッテリーのリサイクルに着手。AerNos, Inc.は、空気汚染、食品の腐敗、植物の病気などに関連する特殊なガスを検知出来るナノガスセンサーをアピールしていた。

5つ目は「韓国テック」。今年のCESのスタートアップ展示会場では、韓国とフランスが特に目立っていたという。特に韓国企業の出展が多い理由として、韓国政府がスタートアップを支援し、CESなどの会場斡旋や税制優遇・補助金、大学での起業教育などを行っていると市川は分析。一方で、「日本の存在感が希薄になっている」と話した。

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モバイル通信業界では6Gの前に衛星サービスへの注目度が高まる

次に、MWC Barcelona 2024で注目したトレンド5つが紹介された。今年のコンセプトは「Future First」。例年のモバイル技術のみならずAIやクラウドなどITトレンドのほぼ全ての分野で最新技術が展示されていたという。

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MWC Barcelona 2024の会場風景

市川が注目したトレンドの1つ目は「AI Is Everywhere」。はからずもCES 2024と同じキーワードになったが、市川は、「今後AIはビジネスの必須要件になることは確実ですが、AIを稼働するGPUへの投資と使用する際の莫大な電力消費をいかに削減していくかがAI戦略の大きなテーマとなるでしょう」と指摘する。

2つ目は「Open RAN」。Open RANとは、無線アクセスネットワーク(RAN)の仕様をオープン化し、さまざまなベンダーの機器を接続してネットワークを構築する仕組みのこと。市場シェア8割を持つBIG3(Huawei Technologies Co., Ltd.、Telefonaktiebolaget LM Ericsson、Nokia Corporation)は、今後コスト削減を目的にOpen RANに対応。RANをソフトウェア化することでその上にアプリケーションを載せ、サードパーティ製品が連携しやすくする。他にもIntel Corporationや日本電気株式会社、楽天モバイル株式会社などもOpen RANに関連したビジネスモデルを開発している。

3つ目は「サテライト」。モバイル通信業界では今後の6Gが注目されているが、戦争や地震などでモバイル通信が使えなくなるインシデントも多発したため、スペースXが運用する衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク」などの衛星サービスへの注目度が高まっている。ポイントは既存のスマートフォンを使って衛星経由で通信ができること。通信のサステナブルの本命は衛星サービスだと見ている企業も多い。

4つ目は「Not スマートフォン」。MWCはモバイル関連の展示会のため、これまではスマートフォンの新商品が主役だったが、今年はEV、ドローン、ロボット、ヘルスケアデバイスが主戦場になっていた。スマートリング(指輪)、有人ドローン、ロボット、立体に見えるタブレット、手のひらに画面を映すデバイスなど、広い意味でのIoTデバイスが注目されていた。

5つ目は「中国企業の存在感」。CESは米国政府による制裁の影響で、中国の参加企業数が2018年の2500社から今年は1100社に減少。しかしMWCはCESほど中国企業が排除された形跡がなく、今年も通信大手企業が積極的に参加していた。「米国は中国企業を排除していますが、欧州は中国企業を歓迎しており、今後もこの傾向は変わらないでしょう」と市川は指摘する。

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レポートセッションのまとめ

最後に市川は2つのイベント視察を総括した。CES 2024、MWC Barcelona 2024で最も盛り上がりを見せていたのは共通してAIだった。AI 機能が標準的なサービスになるとともに、大企業とスタートアップとの連携が加速。今後はAIなど最新技術を活用したユニークなサービスがサステナブルな社会の実現につなげていくと市川は分析する。また、日本のスタートアップの奮起にも期待しているという。

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最先端技術に興味がある人たちが集まるイベントはアイデアが刺激されて楽しい!

レポートセッション終了後の交流会では、参加者同士の活発な会話が繰り広げられ、会社や業種を超えて親睦を深めるなど大いに盛り上がりました。そこで今回のイベントの感想をいくつか伺ってみました。

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「最先端技術に興味がある人たちが集まるこうしたイベントはアイデアが刺激されて楽しめました。普段触れることの少ないさまざまな業種の方と出会えるので思わぬ商談も進みそうです」(40代、ソフトウェア開発企業、グローバルビジネス担当)

「米国に進出したスタートアップなので、CESやMWCの最新トレンドを聞けたことが大きな収穫でした。今後のZ世代向けの商品展開に関するマーケティングのヒントがありました。これから も弊社のようなベンチャーと大企業とのマッチングや交流が可能なオフラインでのイベントを期待しています」(30代、製造業、CEO)

「私は主に海外でのユニークな取り組みを日本に伝える業務をしていますが、それを事業につなげることは難しく、そうした悩みを共感し一緒に共有できる機会になればと考えて今回参加しました。グローバルで一緒に協業できる企業の方との出会いを期待しています」(40代、リース業、グローバル事業担当)

「特にGPUの電力消費が課題になっているという話は興味深く聞きました。また通信手段の主流が衛星になるという話は、リース会社としてアセットに注目しているので、今後モノが減って効率化されていく先に宇宙空間やデジタル空間があると感じました。今後は企業変革全般でAIをどのように活用すべきかをテーマにしたイベントを期待しています」(30代、リース業、DX推進担当)

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お知らせ

今後、日立ソリューションズでは、協創で未来をつくっていくオープンなコミュニティ「ハロみん」を2024年4月よりスタートする予定です。その一環で、今回のようなイベントも継続して実施し、オウンドメディア「未来へのアクション」でもご紹介していきます。皆さんのご参加もお待ちしています。今後のイベント予定はこちらをご参照ください。

https://future.hitachi-solutions.co.jp/community/ 

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