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2026.04.02

【イベントレポート】
都市はどこへ向かうのか。
AIとデータで再設計する歩行者中心の未来と都市DXの方向性

215回表示しました

株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)が運営するコミュニティ「ハロみん」は、2026年2月19日に『DXで実現する"安心・安全・快適"な次世代のまち ~データのつながりが創る新たなまちの価値とは~』を開催しました。

本イベントでは、「まちが話しかけてくる」というコンセプトのもと、歩行者中心の都市へとデザインを進める世界の潮流を手がかりに、ビッグデータとAIを活用した都市DXの可能性を探りました。単なるデジタル化ではなく、都市の状態を可視化し、政策やデザインへとフィードバックしていく科学的アプローチがいかに重要であるかかが議論の中心となりました。

基調講演を務めたのは、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の吉村有司氏。バルセロナで進むスーパーブロック構想などの歩行者空間化の取り組みを事例に、AIとビッグデータに基づく都市政策の実装プロセスとその効果を紹介しました。

パネルディスカッションでは、オプライゾン取締役兼COOのギュルテキン・バハディア氏、日立ソリューションズで都市・空間情報事業を統括する山崎も加わり、ビルや都市が"発信する存在"へと変わる未来像から、合意形成を支える人文知の重要性まで幅広い議論が交わされました。

本レポートでは、バルセロナの事例を通じて浮かび上がった歩行者中心の都市像と、データで人とまちをつなぐ都市DXのあり方を整理し、日本における次世代のまちづくりへの示唆をお伝えします。

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<登壇者>

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    吉村 有司氏

    東京大学先端科学技術研究センター特任准教授

    愛知県生まれ、建築家。2001年よりスペインに渡る。ポンペウ・ファブラ大学情報通信工学部博士課程修了(Ph.D. in Computer Science)。バルセロナ都市生態学庁、カタルーニャ先進交通センター、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て2019年より現職。ルーヴル美術館アドバイザー、バルセロナ市役所情報局アドバイザー、国土交通省まちづくりのデジタル・トランスフォーメーション実現会議委員、東京都「都市のデジタルツイン」社会実装に向けた検討会委員などを歴任。主なプロジェクトに、バルセロナ市グラシア地区歩行者計画、バルセロナ市バス路線変更計画、クレジットカード情報を用いた歩行者回遊分析手法の開発など、人工知能(AI)やビッグデータを用いた建築・都市計画・まちづくりの分野に従事。

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    ギュルテキン バハディア氏

    株式会社オプライゾン
    取締役 COO

    トルコ出身でトルコの中東工業大学(METU)都市計画学部を卒業し、留学で来日。
    北海道大学地球環境科学研究院にて修士・博士課程を取得し、日立ソリューションズに入社。15年前から位置情報・地理情報技術における都市空間事業に従事。地理情報の新規ビジネスのリーダーとして、新規ソリューションの企画・開発を行い、国内・海外への展開を行う。その後、都市空間事業の新規チャレンジでシリコンバレーの先端技術と日立ソリューションズの自社開発の製品・サービスの連携による「建設テックソリューション」、「スマートビルソリューション」の企画・新事業推進の責任者を務める。近年は、スマートビルや建設テックのサービスプロバイダー構想を軸に大林組と日立ソリューションズの合弁による新規事業を企画。2023年、合弁会社オプライゾンの設立に伴い、同社に出向。同年4月よりシリコンバレーと東京の二拠点からなるチームが一体となって事業を開始。

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    山崎 典之

    株式会社日立ソリューションズ
    サステナブルシティビジネス事業部
    スマート社会ソリューション本部
    本部長

    入社後、日立製作所、及び自社のデータベース製品の開発、プリセールスを担当。2016年よりIoT関連事業の立ち上げ、建設テック事業の取り纏めを経て、現在は、都市・空間情報事業の取り纏めを実施。
    お客さまとの協創を通じて商材開発などを実施し、事業を推進している。

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    長谷川 豪

    株式会社日立ソリューションズ
    営業統括本部
    デジタルイノベーション営業本部
    部長代理

    入社以来、人財/ワークスタイル変革関連の専門ソリューション営業として十数年間活動。現在はソリューション立ち上げや拡販ナレッジなどを活かし、建設テックおよびスマートビル関連商材の拡販推進、建設企業との協創活動などに従事。

基調講演|バルセロナに学ぶ、AIとビッグデータが変える都市計画と歩行者中心のまちづくり

東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の吉村氏は、建築家でありながらコンピュータサイエンスでPh.D.を取得し、AIやビッグデータを建築や都市計画、まちづくりに応用する研究を続けてきました。

バルセロナ都市生態学庁やMITでの実践を経て、この20年は「人や車、物の動き」から都市を分析し、「交通シミュレーション」を用いて歩行者空間化による交通や環境への影響を事前に可視化し、都市計画に活かしてきたといいます。

基調講演では「AIとデータを用いた建築・都市計画・まちづくり・都市デザイン」をテーマに、世界の事例と自身の研究を交えながら、これからの都市の方向性を提示しました。

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我々の社会が向かう都市像は「歩いて楽しいまち」

吉村氏はまず、「我々の社会が向かっている都市像」として、歩いて楽しいまちづくり、すなわち「歩行者中心の都市」への転換を挙げました。

象徴的な事例として紹介されたのが、ニューヨークのハイラインです。撤去予定だった貨物鉄道の高架を空中庭園として再生したこのプロジェクトは、市民の提案をきっかけに実現し、都市の魅力を高めています。

吉村氏は、ニューヨークはアートとの融合、美しさを意識したまちづくりを進めてきたのではないかと述べました。一方、より戦略的かつ大規模に歩行者空間化を進めている都市として、吉村氏が紹介したのがバルセロナです。

バルセロナが都市全域で進めるスーパーブロックプロジェクト

吉村氏は、バルセロナを「何十年にもわたり都市データを収集・分析し、その結果を政策へフィードバックし続けてきた自治体」と表現しました。その集大成として打ち出されたのが「スーパーブロックプロジェクト」です。

バルセロナは133メートル四方のグリッドで構成された都市です。そのグリッドを9つ束ね、内側を歩行者優先の空間へと転換し、通過交通は外周へ回します。東京などで見られる限定的な歩行者天国とは異なり、市内街路の60%以上を歩行者空間化するという都市全体規模の政策である点が、世界から注目を集めている理由だと吉村氏は紹介しました。

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バルセロナのスーパーブロックのダイアグラム © Ayuntament de Barcelona

その効果として吉村氏が挙げたのが三点です。第一にパブリックスペースの増加で、公共空間の表面積は約270%増えると予測されています。第二に空気汚染の改善で、汚染度が高かったエリアの改善がデータで示されています。第三に騒音の低減で、静かな都市環境の回復が見込まれています。

もっとも、この構想は一足飛びに実現したものではありません。その前段として行われたのが、2005年に始まったグラシア地区の歩行者計画です。これは最初のパイロットプロジェクトであり、吉村氏自身が関わった取り組みでした。段階的な実装を経て評価を積み重ねた結果、現在では最も住みたい地区の一つとして知られる存在になったといいます。

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段階的な改革が生んだ歩行者中心のバルセロナの街並み

現在のバルセロナでは、子どもが遊び、カップルがオープンテラスで食事を楽しみ、街路はグリーンに包まれています。都市が楽しさを醸し出し、私たちに語りかけてくるような空気感があると吉村氏は表現しました。

その象徴的な取り組みの一つが、南北を貫く主要幹線道路Via Laietanaの再編です。かつて4車線あった道路のうち2車線を削減し、さらに1車線は公共交通優先とすることで、一般車両の通行はほぼ1車線へと縮小されています。

また、自転車政策も並行して取り組まれています。路上駐車車両を避ける際の進路変更による追突リスクが指摘されていたことから、一般的に道路の端に設けられることが多い自転車レーンが中央に配置されています。

こうした現在の風景は、段階的な施策の積み重ねの上にあります。2年前には、コンセル・デ・セント通りで約3kmにわたり歩行者空間化が行われました。自転車やマイクロモビリティ、配達車両、ベビーカーなど多様な交通モードが速度を落としながら共存する空間が整えられています。

さらに、グロリアス広場でも、1992年のオリンピック時に整備されたリングロードを撤去し、広場全体をグリーンへと転換しました。交通の結節点だった場所を、歩行者のための空間へと再編する決断でした。

こうした空間は夢物語ではなく、すでにバルセロナで実現しており、私たちの少し先の未来を具体的に想像させる空間だと吉村氏はいいます。日本でも同様の空間を実現することは可能であり、そのためにはさまざまなデータを収集・分析し、それを都市政策やデザインにどうフィードバックしていくかという視点が今後重要になるのではないかと語りました。

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現在のグロリアス広場

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以前のグロリアス広場

全て ©Ayutamento Barcelona

歩行者空間づくりを支えるデータと科学的アプローチ

吉村氏は、歩行者空間化を「気持ちがいいから」という直感だけで進めるのは曖昧だと述べました。「生活の質が向上したのか」「住民は幸せになったのか」を、データで測る必要があるといいます。

一方で、建築家やプランナーは必ずしもデータ分析に慣れているわけではありません。だからこそ、吉村氏自ら取り組んだのが、歩行者空間化の前後での小売店・飲食店売上の比較です。スペイン全土の街路を対象に、3年分のクレジットカード決済データを用いて分析した結果、歩行者空間化を行ったエリアでは売上が向上する傾向が確認されたといいます。これは、自治体が政策を進めるうえで重要なエビデンスになると述べました。

その前提として重要なのが、歩行者空間のデータ取得です。吉村氏はオープンストリートマップ(OSM)を活用しました。これはWikipediaの地図版ともいえるもので、市民が道路の幅や用途、変更時期などの属性を付与しているオープンデータです。

自治体のデータが紙やPDFで管理され、フォーマットも統一されておらず活用しづらいという課題がある中、AIが読み込めるオープンデータに着目。そして、OSMから歩行者空間データを収集・抽出し、マッピングする技術を開発したといいます。APIなどの技術を用いれば、こうした処理は瞬時に実行できると吉村氏は述べました。

このように、AIとビッグデータによって「まちが話しかけてくる」からこそ、都市計画やまちづくりにおいても、デジタル技術を基礎インフラとして整備していく必要があると述べました。都市の状態を即座に把握し、政策やデザインへと反映していく。その土台づくりに今後も取り組んでいきたいと締めくくりました。

パネルディスカッション|みんなで想像する未来のまちとDXの可能性

続いて、日立ソリューションズの長谷川が進行を務め、「みんなで想像する未来のまちとDXの可能性」をテーマにパネルディスカッションが行われました。

登壇したのは、オプライゾン取締役兼COOのバハディア氏、日立ソリューションズで都市・空間情報事業を統括する山崎、そして基調講演に続き、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の吉村氏です。

バハディア氏は、大林組と日立ソリューションズの合弁会社であるオプライゾンにて、クラウドやAIを活用し、ビルのデータを継続的にアップデートできる仕組みづくりを推進しています。ハードウェアとして固定化されがちな建物を、ソフトウェアで進化させる存在へと転換し、空間と利用者をつなぐインターフェースとして機能させることをめざしています。
山崎は、データベース開発やIoT事業の立ち上げを経て、建設テック、スマートビル、防災・設備保全など、建物のライフサイクル全体を支えるDXを推進しています。GISやメタバースなどの技術を活用しながら、建設・設備分野のデジタル化を協創型で進めています。

それぞれが異なる立場から、「まちが話しかけてくる」というキーワードを軸に、データ活用による次世代のまちやビルの可能性について議論が交わされました。

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データで実現する、まちの"健康診断"

まず議論は、「そもそも"まちが話しかけてくる"とはどういう状態か」という問いから始まりました。
吉村氏は、「どんなデータが現実的に取得できるのか」から考えるべきだと指摘しました。スマートビルのデータを集約すれば、エリア全体の状態を"健康診断"のように示すダッシュボードが構築できる可能性があります。緑の量や暑さといった環境情報を可視化すれば、「この地区はいまどういう状況なのか」を示すことは十分可能だと語りました。

山崎は、技術面から「部品はほぼ揃っている」と指摘。センシング技術やIoT、チャットボットなどはすでに存在しており、あとはどう組み合わせ、どんな効果を生み出す設計にするかが重要だといいます。また、歩行者空間化によって売上が上がるなどの効果を示せれば、実装は進められるはずだという見方も示しました。さらに、笑顔の多い通りや不機嫌な人が多い通りを可視化できるのではないかといったアイデアも示されました。

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ビルは「動かない存在」から「発信する存在」へ

次に議論は、未来のまちやビルの進化へと広がりました。

バハディア氏は、データの取得・処理・価値化・還元という循環の中で、「ビルがインターフェースになり得る」と説明しました。歩行者にクーポンを提示する、空気の状態や安全性を伝える、ベビーカー利用者にパーソナライズした周辺情報を届ける。そうした機能は十分実装可能だといいます。固定された存在であるビルだからこそ、人と情報を結びつける拠点になり得るという考えです。

吉村氏も、建築はこれまで「動かないもの」と捉えられてきたが、情報が重なれば「発信する存在」に変わる可能性があると述べました。防災や安全性が可視化されれば、住む場所を選ぶ基準も変わるかもしれません。さらに、会議室の雰囲気を感じ取るように、まちの"空気感"もデータで可視化できれば、人の行動を変える可能性があるといいます。

さらにバハディア氏は、API連携の重要性にも言及しました。これまで独立していた予約システムと空調システムをつなげば、利用時間に応じた自動制御が可能になります。こうした連携はビル単位にとどまらず、まち全体へ拡張できるという見通しを示しました。

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理想のまちはデータ管理と人文知の両輪で実現する

理想像が語られる一方で、実装の課題にも議論が及びました。

山崎は、個人情報や機微情報の扱いを重要課題として挙げました。データ活用には適切な管理と投資、データの鮮度の維持が必要であり、マネタイズの仕組みも避けて通れません。加えて、まずは人々が安心して体験できる環境を整えることも前提になると整理しました。

バハディア氏は、スマートビルやスマートシティが難しい理由の一つに、オーナー・テナント・利用者という三者構造を指摘。利用者が満足して初めてテナントやオーナーの投資につながるからこそ、合意形成を一段ずつ積み上げていく必要があると語りました。

長谷川から「サイレントマジョリティへの向き合い方」について問われた吉村氏は、バルセロナのデジタル参加型プラットフォーム「デシディム」を紹介しました。対面では難しい規模の意見収集をデジタルで補完する仕組みがすでに運用されています。

吉村氏は同時に、個人情報やプライバシーの問題は避けられず、「今後は人文知が重要になる」と強調しました。バルセロナのコンセル・デ・セント通りで多様な交通モードが共存しているのは、人々が譲り合っているからです。理性に基づく合意形成が空間として実現している状態。それが理想のまちの姿であり、都市はその方向へ向かっているのではないかと述べました。

最後に吉村氏は、日本では負の声が目立ちやすい傾向に触れつつ、そのエネルギーを前向きな方向へ転換することが今後のまちづくりの鍵になると言及。AIやデータの活用は、その転換を後押しする手段になり得ると締めくくりました。

テーブルディスカッション|参加者のアイデアと登壇者の視点

参加者同士による15分間のテーブルディスカッションでは、「まちが話しかけてくるとしたら、日常や仕事はどう変わるか」というテーマのもと、多様なアイデアが共有されました。ここからは、各テーブルで出たアイデアの一部と、それに対する登壇者のコメントを紹介します。

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パーソナライズが変える日常のまち体験

まず、地域住民の立場として、自宅近くの新店舗や自分の好みに合った情報を、検索しにいかなくても自然に受け取れる仕組みがあればよいのではないかという提案がありました。外出時などストレスのないタイミングでパーソナライズして届けることで、まちへの愛着や経済活性化にもつながるのではないかという考えです。

山崎は、ポジティブな情報を届ける視点は重要な一方で、人によってはネガティブな情報も受け取って自身で判断したい人もいると指摘。性格や嗜好に合わせたパーソナライズが鍵になると述べました。

吉村氏は、議論の中で出た「マイナスイオンが飛んでいる場所を教えてもらえたり、みんなでマッピングして検索できるようにしたりする」というアイデアに言及。科学的根拠の有無にかかわらず、人が"そこに行くと元気になる"と感じる場所をマッピングする発想は面白いと評価しました。

データで人の流れを変える地方創生

続いて、人口流出が進む地方都市をどう再生するかという問題提起がありました。また、AIが生活パターンを学習し、旅行や店舗情報をレコメンドする「エージェントコマース」の仕組みを活用すれば、人の移動や消費行動を後押しできるのではないかという意見も出ました。

吉村氏は、これまで語ってきたのは都市部のウォーカブル政策であり、地方には異なる戦略が必要だと整理しました。地方では車を前提とした現実的な設計も重要であり、大型商業施設までは車で移動し、その中で歩いてもらうといった戦略も考えられると述べました。

バハディア氏は、都市から押し出される人の流れを、どう地方が引き込むかが鍵だと指摘しました。その接点としてエージェントコマースが有効ではないかと述べ、観光客の動きも組み合わせれば可能性はさらに広がると語りました。

上を向いて歩くまちが人の幸福感に影響を与える

最後に、ビルの外観や高層階からの視点を活用できないかという提案がありました。高層階からまちを見渡すことで得られる火事や事件などの情報を自治体と共有する、あるいはビル自体が情報を発信する存在になれば、人々が"上を向いて歩く"まちになるのではないかという発想です。

バハディア氏は、ビルの内部だけでなく外部もアップデートされれば、建物は古びることなく進化し続ける存在になり得ると応じました。

吉村氏は、「上を向いて歩く」という発想を評価しました。高層ビルが立ち並ぶ都市では自然と視線が上に向き、空間の捉え方にも影響が出るのではないかといいます。例えば渋谷のような立体的な都市で育つ子どもは、平野部で育つ子どもとは空間認知の感覚が異なるかもしれないと示唆しました。都市の形は、人の感覚や個性、さらには幸福感にも影響を与え得る。そうした視点からも興味深い提案だと述べました。

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クロージング|データと協創がひらく都市DXのこれから

セッションの最後には、登壇者から参加者へ向けたメッセージが送られました。

吉村氏は、これまでの都市計画やまちづくり、都市デザインは直感に頼る部分が大きかったと振り返りつつ、今後はデータを丁寧に取得し、それをもとに合意形成を重ねていく時代になると述べました。
また、まちづくりは一人で進めるものではなく、多くの人とともに育てていくものだといいます。都市データは、そうした人々との対話を支える共通言語にもなり得るとし、その活用の重要性にも触れました。
最後に、「まちづくりDXはまだ大きな可能性を秘めた領域であり、本日集まった参加者とともにコミュニティを育てながら取り組んでいければ」と吉村氏は期待を示しました。

バハディア氏は、未来のまちは暗いディストピアのように語られがちだが、本日の議論を通じて、よりグリーンで明るい未来像を実感できたとコメント。テクノロジーの使い方次第で、都市の未来は前向きに描けるという手応えを共有しました。

山崎は、テーブルディスカッション形式が非常に刺激的だったと振り返りました。データを価値ある情報へと変換することがITベンダーの役割であり、今後も参加者とのコミュニケーションを継続しながら協創を進めていきたいと述べました。

最後に長谷川は、次世代のまちづくりや都市DXは一社では実現できないとまとめました。行政、企業、住民、研究者、そして本日集まった参加者がつながることで初めて形になるものだとし、この後の交流会が新たな協創のきっかけになることへの期待を示しました。

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その後の交流会では、テーブルディスカッションで生まれたアイデアをきっかけに、具体的な課題感や実践事例について活発な意見交換が続きました。登壇者と参加者が直接言葉を交わす場面も多く、新たな連携や協創の芽が生まれる時間となりました。

本レポートが、「まちが話しかけてくる」という未来像を手がかりに、データと人、テクノロジーと合意形成の関係を捉え直す機会となり、皆さまがそれぞれの立場で次世代のまちづくりを構想する一助となれば幸いです。

日立ソリューションズからのお知らせ

日立ソリューションズでは、協創で未来をつくっていくオープンなコミュニティ「ハロみん」を、2024年4月より運営しています。「ワクワクする未来へ 一歩踏み出す、協創の出発点」を掲げ、「繋がる」「探索する」「深める」「創る」をコンセプトにイベントや参加者同士の交流などの活動を行っています。モビリティ・セキュリティ・まちづくりDX・先進技術など、幅広いテーマを取り上げております。その一環で、今回のようなイベントもオウンドメディア「未来へのアクション」でご紹介していますので、皆さんのご参加もお待ちしています。今後のイベント予定はこちらをご参照ください。
https://future.hitachi-solutions.co.jp/community/

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