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2025.03.24

座談会【ハレックス×日立ソリューションズ】
自然災害の被害から企業活動と人々のくらしを守る
生活インフラとなるNTTドコモのサービス持続を支えるソリューション

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気象予報士の知識とテクノロジーを融合させ、精度の高い気象情報を提供しているハレックス。日立ソリューションズが提供する「空間情報ソリューションGeoMation」の気象情報連携オプションでは、ハレックスの気象コンテンツを活用し、気象災害情報の可視化や顧客設備への影響の判定をできるようにしています。いち早くこのソリューションを導入したNTTドコモでは、災害時のサービスダウンを防ぎ、安定した通信を提供することで社会や人々の暮らしを支えています。

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    木村 貴明

    株式会社ハレックス
    ビジネスソリューション事業部 営業部
    営業課長

    入社以来、特定利用者向けの気象予測業務や気象ビックデータを活用した企業・団体向けのコンサル・ソリューション営業に従事。気象予報士・防災士・危機管理士(自然災害)。

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    染谷 隆雄

    株式会社NTTドコモ
    ネットワーク本部 サービスマネジメント部 オペレーションシステム オペレーションシステムBX担当
    担当課長

    NTTドコモに入社後3G/4G/5G通信を担うアクセス装置の開発業務を経て、現在のネットワーク運用保守業務を支える保全系統合システムのシステム主管(開発・運用・保守等)に従事。

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    佐藤 貴之

    ドコモ・テクノロジ株式会社
    NWマネジメント事業部 ソリューション戦略部
    担当課長

    NTTドコモのネットワークを支える保全システムの開発、システムインテグレーションに従事。

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    鈴木 晃弘

    株式会社日立ソリューションズ
    スマート社会ソリューション本部 空間情報ソリューション部
    部長

    入社以来、地理情報システム(GIS)の自社製品開発およびインフラ分野向けシステム構築に従事。現在はデジタルツイン、点群解析、画像AIといった基盤技術をベースに都市インフラの保全業務のDXを推進。

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    高橋 俊也

    株式会社日立ソリューションズ
    スマート社会ソリューション本部 空間情報ソリューション部

    入社以来、自社の地理情報システム(GIS)を使用した公共・通信分野向け業務システムの開発に従事。

大雨の発生頻度は40年前の1.8倍

地球温暖化などの影響で自然災害が増えてきています。企業の災害対策はどのように変わってきているのでしょうか。

木村:自然災害の中で風水害の場合は、土砂災害や河川氾濫などの被害を引き起こします。統計を見てみると大雨が発生する頻度が40年前の1.8倍に増えています。原因としては、地球温暖化などさまざまな要因があげられます。このため企業としては企業防災への取り組みとともに、社会的責任も含めたBCP(事業継続計画)にも取り組んでいく必要があります。近年、防災情報をはじめとした気象情報も進化してきている中で、企業がこれを積極的に活用していかなければならない時代になってきていると思います。

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鈴木:これまでの防災情報ソリューションは、自治体や官公庁からの需要がほとんどでした。しかし、災害の甚大化や労働人口の減少などによって、自治体・官公庁向けに加えて一般企業にも求められるようになったと感じています。タイムライン防災も注目されてきていますね。

木村:気象情報の進化に伴って、災害発生を事前に予測できるようになってきているため、企業が気象災害が発生すると予測される場合にどのように行動するかの防災計画を事前に作成しておき、予測されたときに計画に基づいて対策を行い、被害を最低限に減災させていくという考え方がタイムライン防災で、近年定着しつつある考え方です。

染谷:NTTドコモの視点からお話ししますと、携帯電話がなくてはならない生活インフラとなっている中で、災害時でも通信がストップすることが許されない状況となってきています。災害が増える一方でお客さまのモバイル通信サービスへの要望はより高まっています。より迅速に保守や復旧作業を行う必要がある中で、これまでは紙や熟練した作業員の勘で行ってきたものを、GeoMationを障害状況の可視化ツールとして使うことでより迅速な対応ができるようになってきました。地図上で設備の情報の上にさまざまな情報を付加することで、障害個所の特定をセンターだけでなく現場でも即座にわかるようになり、重要施設や避難所をエリア化する基地局などの復旧優先度の高いネットワーク設備を見える化し、災害復旧活動に役立てています。 さらに、内閣府などからの情報も追加して避難所の滞在人数などを把握し、需要が高い基地局の優先度を上げたり、衛星回線を使うかどうかの判断にも活用できるので、日立ソリューションズのGeoMationにハレックスの気象情報を活用した気象情報連携オプションが非常に役立っています。これらの情報を基に、現場からでもさまざまな対策や提案が行えるところが非常に高い価値だと考えています。

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災害予測を可視化することで企業のBCPを支える

GeoMationにハレックスの気象データを活用するという形で、両社が協創するようになったきっかけや経緯を教えてください。

木村:日立ソリューションズからお客さまの業務システムに気象情報を入れたいというお問い合わせをいただいたのがきっかけです。どのような課題や要望があるのかを細かくヒアリングしていく一方で、日立ソリューションズのシステムに組み込みやすいデータにするためにはどうしたらいいのか、試行錯誤しながら一緒に取り組んでいきました。

鈴木:ハレックスさまとは以前から案件単位でやり取りしており、データの精度が高いと感じていました。我々日立ソリューションズはソリューションを提供するだけでなく、お客さまに寄り添って個別の課題にアプローチを行い、ITの力で解決していくことを得意としており、ハレックスさんも同じようなスタンスで個別のコンサルティングなども行っているので、協業することで大きな価値が生まれると考えました。

GIS(※1)で気象情報を活用することで、企業にはどのような価値が生まれるのでしょうか。

※1:Geographic Information System(地理情報システム)。

木村:お客さまは気象情報がほしいわけではなく、気象情報に基づいて業務への支障や施設への影響がどの程度なのかを知りたいと考えています。それらの情報を可視化することで事前に対策したり、復旧作業計画を立てたりできるようになります。

染谷:まさにそこに価値があると考えます。たとえば、台風の予報円や進路を重ね合わせて事前対策を立案することや、落雷情報や地震情報を重ねて対象の設備を特定することで迅速かつ効率的な点検作業に役立てることができます。

以前は2つの別々のアプリケーションで気象情報と設備情報を並べて表示させ見比べながら対策を立てていたため非常に煩雑な作業になっていたのですが、GeoMationの気象情報連携オプションで情報を重ねてわかりやすくチェックできることは、非常に価値の高いことだと思っています。

鈴木:災害の現状を可視化することがまず重要だと思います。次に重要なのは、GIS(地図情報システム)としての解析の機能です。人の判断に頼らずに、たとえば落雷があった地点から一定距離の点検の必要がある設備を自動的に抽出して保守業務を行いやすくするといったことがGeoMationと災害情報データを組み合わせる価値だと考えています。

降雨量や雷の発生などとは異なり、土砂災害や河川氾濫などはどのように予測していくのですか。

木村:これまでの防災情報の発表は、降雨量の予測に基づいて発表されていました。しかし、土砂災害や洪水は、雨が止んだ後に発生することもあるので、現在の一般的な警報などはそれを考慮して、発表が行われています。一方で、市町村単位で発表されているため、お客さまにとってはどこの設備にいつ災害のリスクがあるのかを知りたいというニーズが高まっていると思っています。今後は、特定の地域の災害リスクがいつ最も高まるのかを時系列で可視化できるという提案を日立ソリューションズとともに行っていきたいと考えています。気象情報とその使い方を提案を通してお客さまの課題を解決することが両社の価値につながると考えていますし、今後も取り組んでいきたいと考えています。

鈴木:ハレックスさまのデータは、位置や時系列の精度が高いことが特長なので、今後は現況だけでなく、過去の気象情報の活用や予報情報の活用を進めていただきたいですね。

佐藤:過去の情報の活用や予報は必ず必要になってきます。起きたことに対して、早く復旧するという要望がまずは現場から出てきて、次はそれを未然に防ぎたいという要望が出てくるからです。

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染谷:すでに台風などの災害が多い九州地方から要望が出てきていますね。今回来る台風が以前の台風に似ている場合は、災害の規模も予測でき、事前に対策ができるので、予報と過去のデータが提供されるようになれば、現場も喜ぶと思います。

NTTドコモがGeoMationと気象情報連携オプションを導入してからも災害は発生していると思いますが、どのように活用されているのでしょうか。

佐藤:日立ソリューションズは、我々の要望に合わせてGeoMationを柔軟にカスタマイズしてくれたので、ユーザ要望に即応可能なつくりになりました。これが災害発生時に役立っています。

高橋:ドコモさまへの導入時には、GeoMationの機能を生かして短時間でデータを追加できるような仕様にすることをめざしたことで、災害時に求められるデータを現場で役立てられるようにできたと考えています。大規模災害時には普段よりも多くのユーザがシステムを利用するため、新しいデータを追加して表示させても表示性能を落とさないようにすることに特に注力しました。

染谷:災害発生時に、急遽避難所のデータをマップに表示させることになりましたが、その作業も短時間でできました。モバイル通信エリアと避難所を重ねることで、通信できない避難所がわかるため、すぐに該当の避難所に移動基地局車を向かわせることができました。通信断が発生している設備と通信断の原因を重ねてチェックすれば、すぐに復旧できるところと何か別の手段を検討しなければならないところなどがわかるので、現場からの提案力が以前よりも向上したと感じています。マップ上でさまざまな情報を一元的に可視化できるのは非常に価値が高いと思います。さらに作業車や移動基地局車が通った道の情報を追加することで、通行止めの情報としても役立てることができ、復旧場所に迅速に駆けつけられました。大きな災害のときには、その地域の自社作業員だけでなく、広域支援でさまざまな地域の作業員が駆けつけるのですが、土地勘のない作業者でもスムーズに目的地に向かえたのも道路の情報を追加したおかげといえます。

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一般的な企業におけるGeoMationと気象情報連携オプションの活用例を教えてください。

木村:たとえば、銀行はどのような天候であっても午前9時から午後3時まで営業しなければならないと銀行法で定められていました。しかし、大雨や災害が発生していても営業しなければならないのでは行員や利用者の安全が守られないので、201 9年に施行された「銀行法施行規則等の一部改正」で要件が緩和され、事業者側で営業時間を柔軟に変更できるようになりました。一方で、銀行側はどのようなときに店舗を閉めるべきかという課題が出てきています。そこで警戒レベル3の場合は営業の判断を各店舗に任せ、警戒レベル4以上の場合は営業を止めるということにしたのですが、ある台風のときに朝の段階で警戒レベル2だったのに、その30分後には全員避難が推奨される警戒レベル4にいきなり上がって、現場は混乱してしまったそうです。そこで企業様にとってはリードタイムを考慮した危険度のピークが何時間後に来るかを時系列で見られるようなサービスを私たちが提供できれば、このような場合にも非常に役立つと思います。これは銀行業に限らず、何らかの設備や拠点を持っている企業さまでも応用できると考えています。

鈴木:不動産管理の会社などでも活用されていますね。大雨や洪水の危険がある建物では予報に基づいて事前に対策を行ったり、震度が高い地震が発生したときに対象となる建物を抽出し、点検指示を出すといった事例も出てきています。

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木村:我々のソリューションは、業種業態を問わず、防災対策を行いたい企業さまに役立つものだと考えています。ただし、どのような気象情報が必要なのかは企業さまによって異なり、重みや基準も異なります。各企業さまが求める情報をどのような空間軸や時間軸で見せていくのか、個々の企業に最適なものを日立ソリューションズと開発していきたいと考えています。

鈴木:私の所属するスマート社会ソリューション本部には、設備保全、建設テック、スマートビルディングの3つの事業があり、フロントラインワーカーのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する部署になります。リアルタイムの気象情報は現場作業とは切り離せない情報であり、我々の事業に非常にマッチしたソリューションだと思います。

個々のニーズに合わせて気象情報を進化させていく

今後の協創の展開やソリューション強化の予定などを教えてください。

木村:気象は非常に奥が深くて、気象の要素も幅広く、時間軸や空間軸も含めてお客さまの要望に合わせて提供しようと考えると膨大な量と種類のデータが必要となってきます。ハレックスとしては、要望を叶えながらどのようにデータをピックアップし、どのように可視化していくのかを考えますので、我々の出す提案をもとに、気象情報を使い倒してほしいと考えています。

鈴木:今後は、過去の情報やIoT(モノのインターネット)の情報の活用を行っていきたいと思っています。過去の情報の提供はハレックスさまの強みでもあるので、それらを活用して人の手に頼らずに分析して判断できるようにしたいですね。IoT活用では、スマートフォンの位置情報を使って適切な作業指示を行ったり、カメラやセンサーの情報から遠隔地の災害に対応したりするといったことが考えられます。こういった強化を通じて、NTTドコモさまが人手をかけずにサービスレベルを維持していくことを支援していきたいと思います。

高橋:以前、染谷さまと一緒にNTTドコモさまの支社に伺って、現場の要望をヒアリングしたことがあります。現場の方がやりたいことが機能としてはすでにできるのに、手順がわからなくて実行できていないということが判明したこともありました。いいものを作っても現場の方が使わないのでは意味がないので、現場の方がやりたいことが取り組みやすいように、UI(※2)の改善にも力を入れていきたいと考えています。調査や保守の時間短縮など、より効率的な運用に向けても挑戦していきたいですね。

※2:User Interface。ユーザの目に触れる部分のこと。
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生活インフラとなるサービスを提供するNTTドコモとしては、今後気象情報をどのように活用していきますか。

染谷:スマートフォンは携帯電話としての機能だけでなく、動画をはじめとしたさまざまなサービスも生活の一部となって活用されています。なくてはならない通信を常に当たり前のように使える状況を支えることが我々の使命です。そのためにも、GeoMationと気象情報連携オプションを活用し、生活者の利便性と安心安全を守ります。

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新製品のご案内

2025年4月1日:災害対策に関連する新製品をリリース。
詳しくはソリューションページをご覧ください。

GeoMation 災害対策ソリューション

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