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2020.09.25

対談【静岡県×トプコン×日立ソリューションズ】
3次元点群データを活用し、持続可能な社会の実現をめざす

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静岡県が全国に先駆けて実施している、3次元点群データのオープンデータ化(2020年度グッドデザイン賞受賞)。官民連携によるオープンイノベーションを通じ、3次元点群データ自体の利用普及とともに、ビッグデータを組み合わせた活用が活発化している。
今回は、静岡県と日立ソリューションズに加え、3次元測量機器の世界的リーディングカンパニーであるトプコンとの対談を行い、前例のないプロジェクトに挑戦する意気込みや解決したい社会課題、その先に描く未来について語り合った。

  • 杉本 直也 / Sugimoto Naoya

    静岡県 交通基盤部 建設技術企画課 建設イノベーション推進班 班長

    公共工事の現場担当のほか、システム開発や運用にも従事。統合GISやオープンデータカタログなどのサイト開設を経験し、現在は3次元データの活用など新たな取り組みのとりまとめを担当。

  • 芹澤 啓 / Serizawa Kei

    静岡県 交通基盤部 建設技術企画課 建設イノベーション推進班 主査

    技術職員として公共工事の現場担当や、都市計画・市街地開発事業などに従事。県の公共工事におけるICT活用のほか、3次元データの活用に関する取り組みを主に担当している。

  • 小川 満 / Ogawa Mitsuru

    株式会社トプコン 製品開発本部スマートインフラ製品企画部 シニアエキスパート

    測量システムの国内営業職から欧州支社への出向などを経験し、現在は企画職。点群と呼ばれる3次元モデルの商品群や、モバイルマッピングシステムを駆使し、「街を測る仕事」にも携わっている。

  • 富田 克則 / Tomita Katsunori

    株式会社トプコンポジショニングアジア 営業サポート部 主査

    GPSセールスサポート、国内営業、海外営業を経てマーケティングを担当。アジア地域のマーケティングを担当し、 国内ではi-Constructionの推進など自治体支援にも携わっている。

  • 大堀 正人 / Ohori Masato

    株式会社日立ソリューションズ ビジネスコラボレーション本部 空間情報ソリューション部 デジタルソリューション推進グループ 主任技師

    3次元点群データから点検対象箇所を自動判別する「GeoMation点検業務支援システム」の事業推進を担当。 Society5.0、i-Construction、社会インフラの維持管理というテーマで、静岡県とトプコンとの協創を図っている。

社会全体のインフラ維持管理コストの削減につながるプロジェクト

ーこのプロジェクトが始まったきっかけについて教えてください。

芹澤:きっかけは、2019年に国土交通省が募集していた「点群データを活用した施設の管理効率化に資する技術」という公募でした。静岡県では、国土交通省が推進している「i-Construction(※)」の取り組み開始から、3次元データ活用に着目し、各分野の業務効率化や高度化ができるようになるのではと考え、「3次元点群データ」の活用を積極的に推進していまして、この公募の自治体部門に応募しました。

※ICTを駆使して、工事現場などの生産性を向上させる取り組み。

杉本:もともと静岡県は、東海地震に備えた災害対応のメンテナンス効率化の課題が何年も前からあり、少子高齢化など作業者が年々減少している現状に対して新たな手法を取り入れる施策を模索していた背景もありました。

大堀:我々も国土交通省が募集していた「点群データを活用した施設の管理効率化に資する技術」の民間部門に応募しました。静岡県さまはデータをお持ちで、活用する技術を求めていらっしゃる。私たちはデータを扱う技術や解析のノウハウを持っています、ということで始まったプロジェクトです。

ー「3次元点群データの活用」は、どのような社会課題の解決につながるのでしょうか。

芹澤:メインとして挙げられるのは、インフラ設備の点検業務の飛躍的な効率化や、少子高齢化による点検従事者の減少への対応ですね。3次元点群データは測量データなので、現場に行かなくても現場の状況が確認できます。ほかにも災害時の状況把握や復旧計画立案の迅速化などにもつながります。

杉本:そういったインフラ管理の業務は、どこの自治体も自分たちだけで完結するケースがほとんどでした。今回は官民連携のオープンイノベーションでもあるので、今までにない新鮮な取り組みでしたね。こうした連携が全国的に広がっていけば、インフラ管理者同士のノウハウが共有化されていき、結果的に社会全体の維持管理コストが抑えられて、より良いインフラを社会にお届けできるようになるだろう、という意味合いも込められたプロジェクトです。

「VIRTUAL SHIZUOKA」の実現に向け、各社の強みを生かす

ートプコンと日立ソリューションズは、それぞれどのようにプロジェクトに貢献していきたいとお考えでしょうか。

小川:トプコンが強みとしているのはモバイルマッピングシステム(以下、MMS)、つまり移動しながら対象を計測する技術です。MMSはカメラやGPS、スキャナーなどさまざまな高精度のセンサーが複雑に組み合わさって計測しているわけですが、それらの高精度な位置情報の同期、ハンドリングのしやすさにもこだわっています。計測技術の精度だけでなく、機器としての組み合わせで総合的なソリューションを提案できることや、使い勝手の良さなど、弊社の特徴を生かして貢献したいですね。

大堀:日立ソリューションズは、「空間情報と合わせた3次元点群データの処理」に強みがあり、データから点検対象箇所を自動判別する技術は特許を取得しています。3次元点群データ処理のベースとなる地理情報システムは、インフラ保全向けシステムとして30年以上提供しており、3次元点群データの業務利用基盤の開発にご期待いただいています。

小川:今回のお話をお伺いした時は、正直驚きましたね。以前から静岡県さまが3次元点群データを公開していらっしゃることは存じ上げており、先進的な取り組みをされていると興味を持っていました。私たちにどこまでできるだろうか、という不安もありましたが、この一大事業のお役に立てるなら、というワクワクする気持ちもあったことを覚えています。

ープロジェクトを通じて課題となるのはどんなところでしょうか。

芹澤:3次元点群データの利用推進には、そのデータの特性の理解がまだ進んでいないことや、取り扱いに慣れていないことなどが課題としてあります。今まで取れなかったデータを取れるだけでも価値があると考えていますが、必要以上に従来手法の精度と比較されるケースがあります。まずは活用していくことこそ本当の意味があると伝えていきたいですね。

大堀:おっしゃる通り、3次元点群データは従来手法と比べ、大量の測量データの同時取得ができる、という特徴がありますね。この大量データを使うことによるメリットを強調していくことが重要と考えています。また、精度の補正についても、トプコンさまが持つ測量技術というハードウェアの面と、我々が持つ解析技術というソフトウェアの面の両軸から、費用対効果に合った対策を考えているので、ご安心いただければなと。

杉本:私たちは、静岡県全域を丸ごと3次元点群データのバーチャル空間とする「VIRTUAL SHIZUOKA(※)」というプロジェクトに取り組んでいて、データ活用を積極的に推進しています。これが成功事例として知られるようになると、ノウハウなどが横展開でき、はじめにお話したインフラの維持管理コストの削減といった多くの社会課題が解決でき、持続可能な社会の実現につながると考えています。データの取り扱いは課題ではありますが、そこを乗り越えられることで大きな可能性を秘めているプロジェクトだと信じていますし、それだけ期待も大きいので、成果を追求していくことは今後もこだわっていきたいですね。

※VIRTUAL SHIZUOKA ~3次元点群データでめぐる伊豆半島~

https://youtu.be/dbRRwQje9Fo

価値あるデータを誰もが自由に活用できる時代へ

ー静岡県さま側として、トプコンや日立ソリューションズに期待しているのはどのようなことでしょうか。

杉本:今回のプロジェクトは、日本の測量技術と解析技術の集大成だと思っています。トプコンさんの測量技術は世界でもトップレベルにあるので、そこに日立ソリューションズの解析技術が組み合わさって、世界に誇るシステムができあがる。そしてこのシステムで取得した点群データを一般公開することで、世界中で次のイノベーションにつなげていく。精度や更新頻度といった細かい課題はもちろん理解していますが、それよりももっとダイナミックな視点で世界中にスケールしていく可能性を期待しています。

富田:MMSは海外でも一般的に使われていますが、データをオープンにして提供して、その先のコンテンツを生み出すという取り組みは前例がないと思うんですよね。集めたデータを自由に2次利用してもらうという、非常に夢のあるビジョンだと思っています。

大堀:今後は民間企業でも自治体でも、取得した点群データを融合して使える時代になっていくように思いますが、現時点で少なくとも自治体の中でもっとも先進的なのは静岡県さまですよね。日立ソリューションズとしても今回のプロジェクトで静岡県さまとしっかり連携させていただき、きちんとニーズに合うようなシステムを構築できれば、ほかの自治体さまにも使ってもらえる品質をめざせると考えています。さらには、その先のグローバル展開ですね。いわゆるSociety5.0の中でも提唱されている、「超スマート社会サービスプラットフォーム」の実現も積極的に進めていきたいと考えています。

ー今回のプロジェクトを通じて、どのような未来をつくっていきたいか教えてください。

芹澤:点群データの活用は新しい取り組みなので、たくさんの壁があると思っています。今日のお話で改めて可能性にあふれた分野だと感じました。まずは静岡県の課題解決から始まり、点群データを活用して人々の生活や社会を支えるような仕組みが展開していくことを期待しています。

杉本:Webの世界で知られるティム・バーナーズ=リーという人が「Raw data, now!」というフレーズを言ったんですね。つまり、価値あるデータを誰もが自由に活用できるようにすることで、いろいろなアイデアが生まれてくるだろう、と。東京都が新型コロナウイルスに関するデータをオープンソースとして共有することで、社会的に価値ある情報として活用できるようになったのは良い例だと思います。そのように、今回のプロジェクトを通じて、ほかの自治体に先駆けて成功事例をつくって同じ志を持つ仲間ができれば良いなと思っています。

大堀:データをオープンにして、人々がつながり、新しい価値を生み出していく。それを国内のみならず海外にも広げていく。そのあたりを我々としても、積極的に推進していければ嬉しいです。

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