
2026.10.26
私たちの身の回りには、多くの社会問題が存在します。詳しく知ることで、日常生活のさまざまな場面が社会問題とつながっていることに気付くかもしれません。
そこで本記事では、現在の日本が抱える社会問題をテーマ別にまとめました。また、社会問題の解決に向けて企業に期待される役割についても解説しています。知識の整理はもちろん、レポートや小論文のテーマ探し、企業としての取り組みを考える際の参考にもしてください。
そもそも「社会問題」とは何のことでしょうか。個別の問題点について詳しく知ることも大切ですが、まずは言葉の意味から確認しておきましょう。
社会問題とは、個人の力だけでは解決が難しい問題のことです。特定の個人や組織だけで解決するのは難しいため、少しでも多くの人が課題として認識し、社会全体として取り組みを進めることが望まれます。
社会問題の背後には、環境・教育・経済・資源など、さまざまなテーマが関係しています。近年では「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」の概念が広まったことで、こうした問題をグローバルな視点からも認識しやすくなりました。SDGsの広がりも、社会問題を「みんなで協力して解決すべき問題」として捉えるきっかけの一つになっています。
社会問題は、どこか遠くの国やニュースの中だけのものではありません。日々の暮らしや身の回りで感じる小さな問題が、より大きな社会問題とつながっていることもあります。
例えば、都市インフラの問題は通勤や通学に影響します。働き方改革に関する問題も、仕事やアルバイトをする人にとって身近なテーマです。
ここからは、実際にどのような社会問題が存在するのかを、テーマ別に見ていきましょう。
昨今の環境に関する社会問題で代表的なものには、気候変動や大気汚染や海洋汚染、森林破壊や生物多様性の損失の問題などが挙げられます。
また、化石燃料への依存やエネルギー資源の安定供給に関する問題や廃棄物処理の限界など、私たちの暮らしへの影響をイメージしやすい問題もあります。
人口の減少と少子高齢化は、日本が抱える大きな問題です。これらは、労働力不足や経済規模の縮小にもつながります。人口減少や少子高齢化が進めば、地域によっては学校や医療機関、公共サービスの維持が難しくなる可能性があります。
また、介護離職や老々介護など、介護する人の負担を軽減するための支援も求められます。これらは少しずつ環境整備がなされていますが、より一層高齢化が進むと、今後さらに深刻な課題になると予想されます。
誰もが平等に教育を受けられれば理想的ですが、現実には教育格差が存在します。家庭によっては学費が大きな負担となり、奨学金を利用できたとしても、多くの場合は卒業後に長期間返済を続けなければなりません。
また、教育現場にも多くの課題があります。教員の長時間労働が問題となっており、いじめや不登校への対応に加え、デジタル教育環境の整備など、教育現場に求められる役割は広がっています。
日本の職場には、長時間労働の問題が根強く残っています。より広く働き方改革を浸透させ、長時間労働の是正をはじめ非正規雇用者の処遇改善、業務効率や労働生産性の向上に対処していく必要があるでしょう。
加えて、各種のハラスメントや、性別に基づく不平等などのトラブルも社会問題化しています。これらは、働く人の健康や生活にも影響を与える問題です。
人口の減少や働き手不足などの影響で地方経済は縮小し、商店街の空洞化などを目にする機会が増えました。加えて物価高により生活必需品や光熱費、住宅費などが上昇し、家計を圧迫しています。
一方、賃金の伸びは物価の上昇に追いついていません。そのため、生活に困窮する人への支援の必要性が高まっていることも、大きな社会問題です。
情報技術が社会に浸透して便利になった反面、サイバー攻撃による情報漏えいなどの問題が起きやすくなりました。また、詐欺広告による被害も報告されています。
近年では生成AIの技術が発展したことで、見破るのが難しいディープフェイクなども増えました。これは、プライバシー侵害や名誉毀損、偽情報の拡散などにもつながる社会問題です。
近年は、豪雨災害などの激甚化が指摘されています。地震や洪水、土砂災害などに強い街づくりが求められるものの、インフラの老朽化や自治体の職員不足などが問題となっています。
住宅密集地の防災においては、空き家の増加も問題です。適切に管理されていない空き家は、災害が起こった際に建物が倒壊したり、窓ガラスが破損・飛散したりして、周辺住民への危険が懸念されます。
都市部では、過度な交通集中による渋滞や交通事故、大気汚染などが問題となっています。
一方、地方では自動車への依存度が高く、人手不足や利用者の減少などにより、公共交通機関の維持そのものが難しくなっているのが現状です。
公共交通機関が機能しなくなると、高齢者や車を持たない人は買い物や通学、通院などが難しくなってしまいます。さらに、人々の活動が制限されることで、ますます地方経済が縮小する点も問題です。
また、人の移動だけでなく物流における社会問題も顕著です。ドライバーの人手不足や高齢化に伴い、生活に必要な物資を全国へ安定して届ける配送網の維持が難しくなっています。
さまざまな社会問題に対して、「自分にも何かできることはないかな」と考えた人もいるのではないでしょうか。ごみ問題や働き方など、一人ひとりの意識や行動の変化も改善に向けた大きな力となります。さらに、個人だけでなく企業が自社の事業や技術、ネットワークを活かして取り組めば、社会問題の解決に一歩近づくかもしれません。
企業が社会の一員として責任ある行動を取る考え方を、「CSR(Corporate Social Responsibility)」といいます。そのような行動を取ることで、利益の追求だけでなく、社会問題の解決にも貢献するのです。なお、企業活動の文脈では、こうした社会問題を「社会課題」と呼ぶこともあります。
ここでは、CSRの観点から企業に求められる取り組みを説明します。
CSRにおいて重要なのは、社会問題の解決につながる事業や取り組みを行うことです。といっても、寄付やボランティアばかりに注力するのではありません。本業の製品・サービスを通じた貢献により、社会への貢献と事業の成長を両立させることが重要です。
例えば、サプライチェーンや物流の効率化を追求したり、省エネになる製品を開発して家計の負担を減らしたりすれば、環境問題に貢献できます。また、まだ使えるものを手放すときに再利用できたり、再資源化できたりする仕組みの提供も重要です。
CSRを掲げる企業には、自社の活動に関わる人や環境に対し、責任ある行動を取ることが求められています。これは、企業が社会への貢献と持続的な成長を両立するためにも大切なことだといえるでしょう。
こうした責任は自社だけでなく、サプライチェーン全体に及びます。発注や調達で連携する他社との関わり方も含めて、環境破壊や人権侵害、法令違反などにつながらないよう取り組みが始まっているのです。
働きやすい職場環境を整えることも、CSRの一環です。企業は長時間労働を減らしたり育児・介護を支援したりするほか、ハラスメントやメンタルヘルスにも配慮します。
働く人にとっても、安心して働き続け、成長しやすい職場になります。
「DX(Digital Transformation:デジタル技術を用いて生活やビジネスを変革する取り組み)」を社会問題の解決に活かすことも、CSRの一環として考えられます。
たとえば、衛星データやAIを活用すれば、森林破壊や違法伐採の把握など、従来は対策が難しかった環境問題への対応にも役立つ可能性があります。
社会問題の解決には、官民連携(行政と民間企業の協力)の考え方も重要です。行政、地域、NPOなどと連携し、それぞれの強みを活かして大きな問題に取り組むことが重要です。
これにより、防災対策や地域活性化といった1社のみでは難しい取り組みも、協力して推進しやすくなります。
CSRには、説明責任を果たすことも含まれます。これは、形式的な取り組みや実態を伴わない発信を防ぐためにも重要です。
社会問題に真摯に取り組む企業は、その解決に向けた活動の成果を測定・評価して開示しています。達成状況や創出した効果などを数値で表すために、「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」などの指標が用いられます。

日立ソリューションズでも、社会問題の解決につながる取り組みを進めています。ここでは、他社との協働による2つのプロジェクトを紹介します。
1つ目は、「食」に関するプロジェクトです。食は誰にとっても欠かせないものであり、食べ物には過剰包装やフードロスといった問題があることは広く認知されるようになりました。加えて、生産者の人権問題や、アニマルウェルフェア(動物福祉)に関する問題も存在します。
こうした問題を解決するには、エシカルフード(人や環境に配慮してつくられた食品)を選ぶことが大切です。しかし、好みや価格だけでなく、エシカルな商品かどうかまで意識して選ぶのは、簡単なことではありません。
そこで、エシカルフードの購買データをスコア化し、消費者がエシカルフードを選びやすくなる仕組みを構想しています。データ活用によって、人や環境に優しい消費を後押しする取り組みです。
2つ目に、医療の新しい形を模索するプロジェクトを紹介しましょう。医師・看護師の不足により、医療機関や医療従事者が不足し、十分な医療を受けにくい「医療過疎」が問題となっている地域があります。
こうした地域では、スマートフォンなどデジタル機器の使用が難しい高齢者への対応が喫緊の課題です。
そこで、ケーブルテレビ会社と協力し、オンライン診療サービスを構築しました。世帯契約を基本とするケーブルテレビのサービスに個人契約の課金システムを統合し、使い慣れた大画面のテレビとリモコンで診療を受けられるようにしたのです。これにより、地域やデジタル機器の利用状況に左右されにくい医療サービスの実現を後押ししています。
座談会【CCCMKホールディングス×日立ソリューションズ】エシカルフードを、当たり前の選択肢に共創とデータ活用でつくる、よりよい食と消費のかたち
座談会【J:COM×日立ソリューションズ】誰もが利用しやすい、新しいオンライン診療のかたちを地域社会のサステナビリティを、テクノロジーで支援
日本には、さまざまなテーマの社会問題が存在します。これらの問題は私たちの生活に多大な影響を与えていますが、個人の力だけで解決するのは難しいものが多くあります。
しかし、個人、企業、行政、地域がそれぞれの立場で取り組み、連携することで、問題の解決に向けて一歩ずつ前進できます。そのために、企業には社会的責任を持ち、事業と社会貢献の両立が求められています。また、連携する他社や地域・行政と協力し合うことも大切です。
日立ソリューションズは、さまざまな社会問題の解決に取り組んでいます。これからも、多様なパートナーを巻き込みながら、データ活用による新たな価値の連鎖を生み出し、幅広いテーマの問題解決に取り組んでいきます。