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2023.06.20

対談【Okta Japan×日立ソリューションズ】
シームレスで多様な働き方をサポートする
次世代の「アイデンティティ」管理

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リモートワークなど、IT環境の変化により、セキュリティのリスクが高まっている。同時に、オンプレからクラウドへ移行する際の課題も見えてきた。今回は、Okta Japan株式会社(以下、Okta Japan)の高橋氏と株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)の松本氏による対談を実施。日本のIT市場においてクラウド化が進む中、セキュリティとアイデンティティを守り、誰もが安心して働ける環境とは何かを語ってもらった。

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    高橋 卓也

    Okta Japan

    シニアソリューションマーケティングマネジャー

    20年以上のセキュリティに関わるプリセールスエンジニア、プロジェクトマネージャー等の経験を有する。シマンテックにおいてセキュリティビジネス開発を経験、その後ServiceNowにてセキュリティビジネスの日本立ち上げに従事する。事業拡大に伴いプロダクトマーケティングとして活動を開始し2021年よりOktaにてシニアソリューションマーケティングマネージャーとして従事。

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    松本 拓也

    日立ソリューションズ

    サイバーセキュリティソリューション本部 認証セキュリティソリューション部 セキュリティスペシャリスト

    10年以上にわたりIdentity & Access Management (IAM) のさまざまなプロジェクトに従事。自社への導入をきっかけにOktaと出会う。2018年に日立ソリューションズがOktaのディストリビュータとなった際の立ち上げから参画し、さまざまな業種のお客様へOktaの提案や導入・運用支援を行う。

働き方・IT環境のダイナミックな変化と「認証」の重要性の高まり

ー「認証」を取り巻く環境の変化や課題について教えてください。

高橋:オフィスの働き方は、近年大きく変化しました。きっかけとなったのは、2020年春の新型コロナウイルス感染症拡大が要因だったと思います。従業員がオフィスに集まることができなくなり、紙やマニュアルで行っていた業務が急速にデジタルへシフトしました。オフィスとリモートワークの両方で、一緒に働けるITの環境も導入されつつあります。それに伴ってセキュリティのリスクも高まっていますが、同時に、より快適で働きやすい環境をつくるための技術も出てきました。例えばパスワードレスや、生体認証などの方式が広がってきたと思います。変革や革新は緩やかなものではなく、ある時点で突然別の次元にステップアップするのではないかと感じています。また、ビジネスのスピードも速くなったと思います。これまではウォーターフォール型の開発プロジェクトが多く、要件定義、設計、開発という流れで、一つずつ積み上げていくやり方だったため、時間と労力を費やしていました。これが近年では開発環境の変化などもあり数ヶ月・数週間でリリースというスピード感に変わってきました。そして2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大のタイミングで、例えばZoomの導入など、今まで石橋を叩いて渡っていたのが、踏み出してみたら意外に大丈夫だということが体験できるきっかけになりました。トラブルも多少あったかもしれませんが、どんどん前に進んでいく方が得るものは大きいと気づけたのは、大きな成果だと思います。

松本:4、5年前くらいから、海外グループ会社とIT環境を統合したいという相談が増えています。背景としては、オンプレからクラウドへのシフトがありますが、オンプレの場合、海外とIT環境が異なるため、統合は容易ではありませんでした。しかし、クラウドの場合、同じアプリケーションを使用しているケースが多いため、統合できるかもしれないということにお客さまが気付きはじめました。例えば、オンプレミスのMicrosoft ExchangeをやめてOffice365を使うと、別々にホストしているわけではないので、「IT環境を統合できるかもしれない。統合したらシナジーが生まれるのではないか」という発想になります。その時に大事になってくるのが認証です。共通のアプリケーションがクラウドサービスであっても、認証の仕掛けは別となります。海外ユーザは本社と同じ認証の方式ではログインできないケースが多く、「認証の方式をグローバルで共通にしたい」という話を受けることが多くなりました。セキュリティでも同様に、世界中からのサイバー攻撃をオンプレの環境で守るのは困難であるため、セキュリティ環境もクラウドサービスを利用したいというお客さまが増えています。

高橋:お客さまは、自分達だけでは容易に解決できない課題が、「SaaSやクラウドベンダーのセキュリティなら解決できるかもしれない」と気づきはじめていると思います。これはかなり大きな変化です。日本では海外のようにダイナミックにIT環境を変えることは容易ではなかったと思います。しかし近年、日本でもビジネス状況に合わせて最適なクラウドサービスを迅速に導入したり、従来のようなカスタマイズありきのSaaS利用ではなく、サービスとして導入を進められるようになったりと、ITを取り巻く環境も変わってきました。セキュリティ面でもより良い方向に進んでいくタイミングだと感じています。

松本:大企業のセキュリティ被害がニュースで大々的に報道されるようになったことも変化の一因だと思います。攻撃が高度になった面もあるかもしれませんが、セキュリティインシデントが公になれば、企業としての信頼を失うなど、経営面でのダメージがありますので、セキュリティ対策をしっかり行うことは、経営課題としても重要だと思います。

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サービスを熟知した心強いパートナーとの出会い

ー2社の協業のきっかけについて教えてください。

高橋:Okta,Inc(以下、Okta)は米国で2009年に設立され、日本では、2020年の9月にOkta Japanを設立しました。当時は新型コロナウイルス感染症拡大のため、展示会や個別訪問など、対面でのコンタクトが規制されていた時期でしたので、海外のベンダーが日本でのビジネスを立ち上げるには難しいタイミングであり、かなりのハードルがありました。そのような状況においては、パートナーとうまく連携することが非常に重要であり、パートナーなしでOkta Japanが日本でのビジネスを確立するのは難しかったと思います。当社が日本でビジネスを始める前から、日立ソリューションズはOktaのワークフォースアイデンティティ管理の統合ソリューション「Okta Workforce Identity Cloud」を既に自社で導入済であり、日本のお客さまにも提案、導入の実績がありましたので、日立ソリューションズにご支援いただいたのは、我々のビジネスを日本で立ち上げて、拡大する上で重要だったと思います。

松本:Okta Japanさまと協業する前から、日立グループでは Oktaの製品を購入し、使用していましたが、日本ではあまり広まっておらず、国内のSIerも当時は取り扱っていませんでした。このような状況の中、ぜひ国内でOktaの製品を広めたいと思いました。もう一つは会社のビジネスとして、当時、私が所属していた部署はオンプレによる提供が主流でしたが、クラウドを中心としたビジネスへシフトし始めたところであり、何か一つ軸となるキーテクノロジーを探していました。クラウド化やセキュリティ強化を考える場合、認証は避けて通れず必須となるため、Oktaの製品を軸としてクラウドビジネスを推進していこうという動きになり、Oktaさまと協業を始めたのがきっかけです。

高橋:Oktaの製品は単体で効果を発揮するものではなく、さまざまなシステムと連携することでより価値を提供できます。そのためお客様の環境を熟知されている方とお話ができるのはすごく重要なことです。日本では、多くのお客さまが、SIerに頼ってITを運用・導入していますので、日立ソリューションズのような技術力のある企業にご支援いただくことで、初めて弊社の製品がお客さまに使っていただける環境になると感じています。

場所や時間の制約を受けない、新しい働き方の実現に向けて

ー協業後、国内のお客さまの反応はどのようなものでしたでしょうか。

松本:日立ソリューションズではOktaの製品を提供してきましたが、お客さまより好評をいただいています。他のシステムと接続・連携しやすく、管理が容易であることなどのメリットが要因としてありますね。そのため、当社のさまざまな海外取扱い製品の中でも、Oktaが提供する製品は現在主力製品となっています。「ゼロトラストセキュリティ」のほか、オフィスワーク以外でも場所を選ばずに使えるという利点を活かし、「働き方改革」のソリューションにおいても提案を行っています。

高橋:利用者の識別情報としての「アイデンティティ」は、今後、システムを安全に使用していくために最も重要な基盤です。「アイデンティティ」を管理し、安全で、安心して使えるという環境をきちんと理解してご提案いただけている日立ソリューションズは、Okta Japanにとって、非常に重要なパートナーだと考えています。昨年より、共同でのウェビナーなどを開催させていただいていますが、今後も協力していきながら、多くの方に知っていただきたいと考えています。

松本:日立ソリューションズでは、私だけでなく、セキュリティ全般を提案する者も同じ考えだということを強調しておきたいと思います。例えば、ゼロトラストに基づいてセキュリティを検討しようとするお客さまは大変多いですが、ゼロトラストの概念は多岐にわたるため、すべてを実現することは不可能です。そこで「何から始めるか」が論点になります。最初にやるべきはIAM(Identity and Access Management:アイデンティティとアクセス管理)であり、IAM製品の中でもOktaの製品を特におすすめしています。当社自身もユーザとしてメリットを体験的に理解できていますので、自信を持ってお客さまへ提案することができます。

高橋:おかげさまで、アナリストからも良い評価をいただいております。引き続き良い評価をいただけるように、今後もみなさまへ情報提供をしていきたいと思います。また、Oktaが提供するメリットを体験的に理解されている日立ソリューションズのようなパートナーとともに、事業を広げていけるのはすごく嬉しいですね。
少し話は変わりますが、スキルを持った優秀な方でも、たまたま地域的・時間的な制約を理由に、希望する企業へ就職できない方も多くいると思います。我々が推進している「Dynamic Work(ダイナミックワーク)」(*1)のような仕組みも一緒に考えていただけると、企業としてはより安定的・継続的に人材確保ができるのではないかと思います。近い将来、労働人口が足りなくなるという問題がありますが、単に人材を増やしましょうというだけでなく、生産性を上げれば人材不足を解消できるという提言でもあります。時間や住む場所の制約を受けずに働くことができるという変革は、もう目の前に来ており、Okta Japanはそのような環境を提供することができる企業の一つであると思います。

*1: Dynamic Work:社員にとって最も合理的な場所で働く選択肢や働く時間の柔軟性を維持しながら、社員同士のコラボレーションやコミュニティ形成の機会を最大化する、Oktaが推進する働き方
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アイデンティティが担保された、安心してサービスを利用できる社会を実現

ー今後の目標や実現したい社会の姿があれば、お聞かせください。

松本:当社でも全社員がOktaの製品を使用していまますので、ユーザとしての立場から語れることがあります。そのため、お客さまへの提案説明時には、説得力があると考えています。また、セキュリティでは、IAMが非常に重要であるという話は、Oktaだけではなく、お客さまのシステムをトータルに見ることができる立場である、日立ソリューションズだからこそ出来ると思います。このような啓発的な活動も行っていきたいですね。

高橋:お客さまの立場を考えると、日立ソリューションズの提案は、お客様目線での意見であり、これから検討しようとするお客さまにとって説得力があると思います。また、最近では、ビジネスのスピードが速くなり、サービスのデジタル化が進んだことによって、アイデンティティの管理が求められるシーンが増えています。そのため、「カスタマーアイデンティティ」と言われる、企業の顧客向けに提供しているサービスにおけるアイデンティティを、どのように管理するかという課題が、最近かなり増えてきました。当社は、「カスタマーアイデンティティ」の領域においても、日立ソリューションズと協力して、日本のお客さまが、より楽に、安全に、サービスを立ち上げられる仕組みを一緒に提供していきたいと考えています。

松本:日本市場でも、そのようなニーズに応えていく時期になったと思います。Oktaの方と最初に会話したとき、「米国では、従業員向けのアイデンティティもやるけれど、「カスタマーアイデンティティ」を意識してビジネスをしてほしい」と言われました。当時、「カスタマーアイデンティティ」の領域では、自社で認証機能を独自に実装するケースが圧倒的に多かったのですが、最近では、状況が変わってきており、当社でも「カスタマーアイデンティティ」に関する相談をお客さまから受ける機会が増えてきました。サイバー攻撃の高度化やユーザビリティへの高い要求などが相まって、認証に求められる機能も高度化しています。このような機能を自社で独自開発し、世の中のトレンドに追従しながらセキュリティを維持していくことは簡単ではありません。お客さまが安心して使えるIT環境を、当社はOkta Japanさまと協力して広げていきながら、時間や場所の制約を受けずに、誰もが安心して働ける環境を実現していきたいと思います。

高橋:私も同じ意見です。お客さまに安心して使っていただき、かつ、自社のビジネスもすぐに伸ばしていけることに貢献できるという意味で、「カスタマーアイデンティティ」はグローバルでも今すごく大きな伸びを見せていますし、日本でも、今後急激にこの領域は広がっていくと考えています。当社のブランドパーパスは、「アイデンティティがあなたのものである世界をつくる」ですが、いろんなサービスを享受するときに、同じアイデンティティがすぐに使えて、それはあなたのもの以外何物でもないということが担保された世界を実現したいと思っています。日立ソリューションズと一緒に、お客さまへ、このような価値を提供できるようにしていきたいと思います。

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