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日立ソリューションズのAIの取り組み

品質保証業務にAIエージェントを導入
最大70%の工数削減、業務品質向上に寄与

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日立ソリューションズの品質保証統括本部では、品質と生産性の両立をめざし、品質保証(QA)業務向けAIエージェントの開発・活用を推進しています。現場のベテランが培った知見を活かしながら、見積もりやリスクの洗い出しなどの業務を支援するテンプレートを整備。その結果、タスクによっては30〜70%の工数削減や見積精度の向上を実現しました。試行錯誤を重ねて磨き上げた取り組みの背景と成果、そして将来的な外部展開への構想について紹介します。

※本記事は2026年10月に掲載されたものです。
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    四ッ橋 章匡

    株式会社日立ソリューションズ
    品質保証統括本部 品質・プロジェクト統括センタ QAPM技術部
    主管技師

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    高見 英樹

    株式会社日立ソリューションズ
    品質保証統括本部 品質・プロジェクト統括センタ QAPM企画部 企画グループ
    グループマネージャ

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    佐藤 卓

    株式会社日立ソリューションズ
    品質保証統括本部 品質・プロジェクト統括センタ QAPM技術部 技術グループ
    グループマネージャ

試行錯誤を経て、業務知識の重要性に改めて気づいた

―品質保証統括本部のミッションについてうかがいます。

高見:当社は様々なお客様のシステム開発を支援しています。品質とコスト、納期はすべて重要な要素ですが、品質保証統括本部は開発するシステムの品質について、最終的な責任を負います。品質にこだわってきましたが、かといって高品質を追求した結果、他の要素に悪影響があってはなりません。最適バランスに配慮しつつ、最新技術を取り入れて品質を高める努力を重ねています。

―品質保証業務でAIを活用しているとのことですが、その背景や狙いを教えてください。

高見:QA(品質保証)はスタッフ部門に位置づけられますが、受託したプロジェクトの予算を使って業務を遂行します。また、QA担当者は個々のプロジェクトのメンバーとして活動します。限られた予算・工数内でいかに業務品質を高めるかは大きな課題であり、常に合理的な解決策を探しています。もう1つの課題は属人性です。担当者による品質のばらつきをいかに抑え、高品質・効率的に業務を実行するかが問われます。そこで、解決策としてのAIに着目しました。実は、システム開発業務においては、すでにAI活用が浸透しつつあります。設計・開発工程が短縮される中で、QA業務だけが従来のやり方を維持すれば、私たちがボトルネックになりかねません。

―QA業務における、AIへの取り組みを振り返るといかがでしょうか。

四ッ橋:私たちがめざしたのは「見積」や「計画」、「要件」といった工程ごとに、ある程度まとまったタスクを実行するAIエージェントの開発です。2023年から活動を始めましたが、当初は手探りでうまくいかず、翌24年に開発方針を変更しました。AI活用部門担当者から、QA業務に精通するキーパーソンが大きな役割を担う形に変えたのです。業界や機能など領域ごとのシステムについて、QAで豊富な経験を持つ人たちです。

高見:重要なポイントはどこまでAIに任せるか、どのタスクを人が担うかということ。その境界線の引き方が、AIエージェントの質を決定します。境界線を適切に見極められるのは、QA業務のベテランたちでした。

「こんなものは使えない」、「これでどうだ」を繰り返してAIエージェントを磨く

―AIエージェントの社内での本格活用はいつからですか。

四ッ橋:「品質保証向けAIエージェント」として、2025年9月から社内展開しました。見積もりなどの工程ごとにAIエージェントテンプレートを用意し、それぞれが対応するプロセスを自動処理します。現在では、QAに関わる現場担当者の多くが本AIエージェントを日々の業務で使っています。

―AIエージェント開発の過程で苦労したこと、工夫した点などをお聞きします。

四ッ橋:AIエージェントを使うのはQA部門。メンバーは従来からのやり方に慣れていますし、各自の経験の中で培った属人的な手法もある。新たにAIエージェントを導入するのは容易ではありません。開発したAIエージェントを見せて「使ってください」といっても、現場のユーザーから「こんなものは使えない」と、容赦なくいわれることも少なくありません。その意見を持ち帰り、修正した上で「これでどうだ」と。そんなやり取りを繰り返しながら、徐々にAIエージェントの中身を充実させ使いやすいものにしていきました。業務の標準化を進めるために「このやり方にしてください」と、トップダウン的なアプローチをとった場面もあります。

―現場ユーザーの意識に働きかける、あるいはスキル向上という観点ではいかがですか。

佐藤:業務にAIエージェントを組み込む上で、避けて通れない課題です。最初は「AIを使ってみよう」という呼びかけから始まり、ユーザーに寄り添いながらスキル向上をサポートしました。AIを使いながら、「自分がAIを育ててやろう」という気持ちになってもらいたいですね。改善点の指摘があればすぐに対応します。開発して社内に提供するだけでなく、業務の中にAIエージェントを定着させることが私たちの役割です。

外販を視野に入れ、「カスタマーゼロ」としてノウハウを蓄積

―AIエージェントテンプレートについて、具体例をいくつか教えてください。

高見:品質保証向けAIエージェントには、役割ごとに5つのタイプがあります。「分析支援系」「分類支援系」「チェック支援系」「リスク支援系」「自律型AIエージェント」です。例えば、分析支援系のテンプレートでは、データから共通項を抽出し、課題への対策案の検討を支援します。 リスク支援系のテンプレートでは、見積書やお客様のRFP(※1)などに潜むリスクを洗い出します。 例えば、RFPと当社提案資料のギャップを分析し、受注の課題になりそうな要素を提示します。また、自律型AIエージェントでは、プロジェクトの進行に合わせて報告情報などをもとにリスクを分析・指摘します。(※2)

※1 Request for Proposal:システム開発や業務委託を行う発注側企業が、受注候補のベンダーに対して具体的な提案や見積もりを依頼する文書
※2 AIエージェントで利用するデータは、学習に利用されない環境で取り扱っており、顧客の同意を得たもののみを使用しています

―品質保証向けAIエージェント活用の効果について教えてください。

佐藤:タスクによって異なりますが、30~70%の工数が削減されました。また、見積精度が大幅に向上するなど、業務品質面での有用性を確認しています。プロジェクトのスピードアップ、期間短縮といった効果も表れています。

―品質保証向けAIエージェントをソリューション化して、外部の企業に提供する予定はありますか。

四ッ橋:現在、構想を練っている段階です。一案としては、QAチームとは別につくられた、システム開発用AIエージェントに組み込む形で提供するというアイデアがあります。具体的な内容は近く公表できると思います。私たちは品質保証向けAIエージェントを、「カスタマーゼロ」の取り組みと位置づけています。お客様への提供を視野に入れ、まず自分たちが試行錯誤してノウハウを蓄積し、ソリューションとして磨きをかけています。その成果をお客様への価値提供につなげ、より多くの現場で品質向上と生産性向上に役立てていただきたいと考えています。

AIエージェントテンプレート一覧
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※3 重要障害になりえる部位を特定し、品質向上施策強化を促す手法
※4 ソフトウェア開発やテスト工程で作成される「不具合帳票(バグ報告書)

情報誌「プロワイズ」について

本記事は情報誌「プロワイズ」で掲載した記事の転載です。
日立ソリューションズでは、毎号さまざまな特集を組み、各界の第一線で活躍するゲストの提言や当社の取り組みなどを掲載する情報誌「プロワイズ」を、年4回発刊しています。旬なキーワードをテーマに、ビジネスに活かせる有用な情報から一息つけるコンテンツまで、幅広く無償でお届けしてまいります。
バックナンバーをデジタルブック形式、PDF形式でも公開しておりますので、ぜひご覧ください。
https://future.hitachi-solutions.co.jp/series/about/prowise_digital/

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