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日立ソリューションズのEX向上の取り組み

自分のキャリアに向き合う機会としての若年層ジョブ・マッチング制度

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「多くの人財に選ばれる会社」になることは会社の持続的成長のための大きな課題ですが、一方でDX人財は引く手あまたで獲得も難しく、また転職も容易です。だからこそ、従業員が「なぜ自分はこの会社で働くのか」と疑問に思った時に、きちんと応えられる職場を作っていきたい、従業員の幸せの実現を会社が支援することで、会社の魅力や人財の吸引力を高め、結果として従業員・会社双方の持続的成長につなげたい、そんな想いを込めて日立ソリューションズは「EXの向上」に取り組んでいます。新卒入社3年目の若年層が自らの意思でジョブを選択できる「ジョブ・マッチング制度」もスタートしました。

※本記事は2023年11月に掲載されたものです。
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    井上 正人

    日立ソリューションズ
    人事総務本部 副本部長

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    槙田 理恵

    日立ソリューションズ
    人事総務本部 タレントマネジメント部 部長代理

SXの一環として、EX向上に取り組む

井上:当社は自社の持続可能な経営と、持続可能な社会の実現への貢献をめざす「SX(Sustainability Transformation)プロジェクト」を推進していますが、このSXプロジェクトの一環として、従業員に向けては働きがいや成長の実感につながる「EX(※)(Employee Experience)の向上」をテーマに取り組みを行っています。

※ 従業員体験

「多くの人財に選ばれる会社」になることは、会社の持続的成長のための大きな課題ですが、一方でDX人財は引く手あまたで獲得も難しく、また転職も容易です。だからこそ、従業員が「なぜ自分はこの会社で働くのか」と疑問に思った時に、きちんと応えられる職場を作っていきたい、従業員の幸せの実現を会社が支援することで、会社の魅力や人財の吸引力を高め、結果として従業員・会社双方の持続的成長につなげたい、そんな想いを込めて「EXの向上」に取り組んでいます。

――具体的には、どのような施策を展開しているのですか。

井上:多様な人財一人ひとりが、働きがいや成長の実感を高められることにフォーカスし、取り組みを行っています。具体的には、自発的なチャレンジや、キャリアを自ら選択できるような支援です。例えば、立候補し社内選考で選ばれた従業員が米国シリコンバレーで起業のトレーニングを受け、アイデアが認められてスポンサーが現れれば、当社が独立を支援する「スタートアップ創出制度」や、若年層が自らの意思でジョブを選択できる「ジョブ・マッチング制度」もスタートしました。

ジョブ型人財マネジメントや
ダイバーシティの諸施策を通じて
EX向上を実現

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――若年層ジョブ・マッチング制度を導入した背景や狙いを教えてください。

槙田:ビジネス環境の変化、若年層の働き方やキャリア形成に対する意識の変化・多様化を背景に、若年層ジョブ・マッチング制度を導入しました。「配属ガチャ」という言葉がありますが、若年層には「自分でキャリア形成しよう」という意識が高まっている流れがあるので、働きがいや成長の実感を高められるような制度が必要と考えました。

若年層が自らのジョブを選択することで、入社後にどのようなスキルや経験を積み上げてきたのか、今後どのように成長したいのかを考える機会を作り、若年層のキャリア意識の醸成、その後の自律的成長を促すことを狙っています。また、当社の中に様々なジョブがあり、多様なキャリア志向に対して成長していく環境が整っていることを知ってもらうきっかけになると考えています。

――若年層ジョブ・マッチング制度の概要について教えてください。

槙田:この制度は2022年度にスタートしました。新卒入社3年目の従業員全員を対象とし、まず、社内の各部署が求人票を提示し、希望と合致する求人へ従業員が応募します。求人票を出した部署による書類選考を経て、希望部署の部課長と面談。そして、部署が求める要件と合致しているかが判断され、合否と異動が決まります。現在の部署の仕事を継続するという選択も自分のキャリアを考えた上での大事な意思決定なので、継続も権利行使と捉えています。

本制度は対象者"全員"の参加が一つの特徴です。当社には、社内FA制度や社内公募制度など、従業員が手を挙げて異動する仕組みは以前からありました。若年層もこうした制度を利用できますが、自ら異動を申し出るのはハードルが高く、一律で参加となれば自分の希望も伝えやすいと考えました。また、制度を利用する権利を最大2年繰り越せるようにしています。つまり、新卒入社3年目から5年目の間に、全員が1度は自分のキャリアや可能性について見つめ直す機会を得ることになります。初年度は対象者の約1割が異動し、約1割が継続を選択しました。

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人財マネジメントの在り方が改めて問われる

――若年層ジョブ・マッチング制度を実施して、どんな反応がありましたか。

槙田:入社3年目という仕事への理解が深まった時期に、自分のキャリアを考える機会を持てたので、若年層からはポジティブな声が寄せられています。一方、各部門としては若年層が異動する可能性がありますし、面接など業務負荷が増えることになりましたが、柔軟に対応いただいています。上長へのアンケートでは、約8割から「人財マネジメントの意識変化があった」と回答がありました。これをきっかけに、部下との接し方について改めて考えようという意識が高まっているように思います。

――若年層従業員の異動が決まった場合、今の所属部門には拒否権はないと聞いています。

槙田:部下がやりがいを持ち、成長を実感できるような環境づくりと人財マネジメントが、上長にとってはこれまで以上に重要になるでしょう。

井上:若年層にとっては、自由な選択肢が与えられたというある意味優しい制度と思われるかもしれませんが、これまでの期間で何を身につけてきたのか、そして今後何をめざすのかを問われる厳しいものでもあると思います。これをきっかけに改めて自身のキャリアを考え今後の成長につなげてほしいと願っています。

この制度は非常に刺激的な制度。人事畑の長い私には、思いつかないアイデアです。その点、槙田はいろいろな部門を経験しており、人事に新しい発想を持ち込んでくれました。全く新しい発想であり、トータルな効果を見極めるにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、このようなトライ&エラーが許容される当社のカルチャーだからこそできるとも思っています。トライ&エラーを許容しつつ、従業員と会社双方の持続的成長につながる人事施策を、今後も考えていきたいと思います。

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