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技術レポート

ウェルビーイング実現に寄与するサービスと環境配慮型システムへの潮流

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日立ソリューションズが進める「SX(Sustainability Transformation)プロジェクト」には、ウェルビーイングやGX(Green Transformation)も含まれる。ウェルビーイングを支える従業員のエンゲージメント向上をめざす「リシテア/ 従業員エンゲージメント」、GX活動の一環としてのグリーンソフトウェアの動向を見てみたい。

※本記事は2024年3月に掲載されたものです。
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    松本 俊子

    株式会社日立ソリューションズ
    経営戦略統括本部 経営企画本部 研究戦略部
    部長

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    平原 一帆

    株式会社日立ソリューションズ
    経営戦略統括本部 経営企画本部 研究戦略部
    技師

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    笠松 哲也

    株式会社日立ソリューションズ
    スマートライフソリューション事業部 スマートワークソリューション本部 HRソリューション開発部 
    担当部長

─SX推進の一環として、経営戦略統括本部はウェルビーイングを重視した取り組みを進めています。

松本:SXプロジェクトの大きなテーマは経済価値、社会価値、環境価値すべてを実現すること。その上で、一人ひとりが快適で活躍できる社会づくり、人々のウェルビーイングに貢献したいと考えています。ウェルビーイングは主として、社会価値の実現につながるものと考えています。研究戦略部が取りまとめている研究開発投資の中には、ウェルビーイングに寄与するソリューション開発につながるものもあります。

─具体的なソリューションを教えてください。

笠松:代表例の1つが、人事総合ソリューション「LYSITHEA(リシテア)」のラインアップの1つ、「リシテア/従業員エンゲージメント」です。リシテアは、従業員の勤務管理業務や各種申請業務などの間接業務から人事・総務部門の人事・給与管理業務までの人事関連業務をワンストップでサポートするソリューションですが、従業員エンゲージメントが加わったことでより包括的なソリューションになりました。

─従業員エンゲージメントに注目した理由についてうかがいます。

笠松:人財不足が叫ばれる中、離職を抑制したいと考えている企業は少なくありません。また、従業員のパフォーマンス向上という課題もあります。課題解決のキーワードがエンゲージメントです。社員がやる気を持っていきいきと仕事に向き合えるような職場環境が、エンゲージメントを高め、さらにはウェルビーイングにもつながります。

─「リシテア/従業員エンゲージメント」の特長について教えてください。

笠松:2019年5月から数年にわたって実施した、慶應義塾大学との共同研究の成果が活かされています。「リシテア/従業員エンゲージメント」のキーワードはビジョンへの共感、やりがい、働きやすさ、成長支援など。自ら仕事を工夫してやる気を高めることを重視しています。

その中で、まずは従業員へのサーベイを工夫しました。類似のサービスでは、個々人の調査結果は上長や人事部門に通知されるのが一般的ですが、本サービスは本人のみに知らせます。忖度が入るのを防ぎ、率直な回答を導くためです。エンゲージメントの状況に応じて、システムからは改善策が提示されます。ただ、1人では長続きしません。みんなで課題を共有して議論する、あるいは一緒に改善策に取り組む仕掛けも用意しています。

─導入効果についてうかがいます。

笠松:当社でも活用していますが、人事部門からは「新入社員研修で効果があった」と聞いています。サービスの一部である情報共有スペースが好評で、新入社員の意識に好影響を与えているようです。お客様の事例もありますが、効果を確認できるのはもう少し先になりそうです。

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グリーンソフトウェアの動向に注目

─研究戦略部のGXへの取り組みについて教えてください。

平原:GXもまた、SX活動の一環です。私たちのチームのミッションの1つは、数年先を見越した先進テクノロジーの評価。また、技術動向の調査なども行っています。GXの観点で注目しているのは、グリーンソフトウェアです。例えば、CO²排出量を可視化するソフトウェア、再生可能エネルギー比率の高いクラウドを教えてくれるソフトウェアなどがあり、サービスとして提供されています。私たちは様々なグリーンソフトウェアの中で有望なものを探索し、技術的な評価を行っています。

─IT産業全体はどういう潮流でしょうか。

平原:国内外で様々なルールづくりが進んでいます。例えば、ソフトウェアやサービスの環境配慮の度合い、CO²排出などについて、ユーザーが共通の指標で見られれば、自社の方針に合致したものを選べるでしょう。国際的な標準化団体も設立され、国内でも同様の動きがあります。ルールづくりの進展を見つつ、当社への影響を検討・議論するのも私たちの役割です。

─グリーンソフトウェアは、今後のサービスメニューに加わるのでしょうか。

平原:現在は検討段階です。CO²排出を可視化するソフトウェアについては、調査結果を事業部門やお客様に説明しています。お客様によっては、高い関心を示されるケースもあります。ソフトウェア軽量化など、近接するサービスと組み合わせてグリーンソフトウェアを提案するのも一案ではないかと思っています。

松本:お客様の既存システムを調べると、冗長なコードが相当含まれているケースがかなりあります。これをシンプル化、軽量化することで、お客様は電力消費やCO²排出を抑えられる可能性があります。当社は以前からこうしたサービスを提供してきました。その意味で、現在のGX活動は従来からの取り組みの延長上にあるともいえるでしょう。

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