
大みかゴルフクラブ(茨城県大みか町)でのオンコースレッスンに参加したのは、力量がほぼ互角の2人。しかしゴルフのお悩みは、それぞれ違うようです。まずは白戸プロにそれぞれの悩みを聞いていただいてから、 オンコースレッスンに入りましょう。

白戸 由香
プロゴルファー
しろと・ゆか/
青森県南津軽郡出身。日立ソフトウェアソフトボール部で活躍後、1993年にプロゴルファーへと転向。2014年のレジェンズツアー「シブヤカップ」で初優勝を飾った。17年には「ふくやカップマダムオープン」と「シブヤカップ」で2勝を挙げ、レジェンズツアーの賞金女王に輝いた。レジェンズツアー6勝。22年の「JLPGAレジェンズチャンピオンシップCHOFUカップ」でも4位に入った。全米シニア女子オープンにも毎年挑戦を続けている。

山田さん
ゴルフ歴1年半
(ベストスコア94)

小山さん
ゴルフ歴4年
(ベストスコア93)

白戸:おはようございます。まずは朝一番の、スタートホールに関するお悩みに
ついて、お聞きしたいと思います。
小山:コンペで一番最初の組になるケースが多く、たくさんの人に見られている中でのティーショットはとても緊張します。2番くらいまでは体がほぐれず、トリプルボギーになることが多いです(笑)。
白戸:緊張するのは悪いことだという考え方がありますが、私は、ある程度の緊張感があった方がいいと思うんです。緊張しすぎは良くないですが、緊張していることを自覚しながらでも良い結果が出れば、それは自分の経験値になりますよね?
小山:はい。
白戸:緊張しすぎでなければ、例えば緊張して「呼吸が浅くなっているな」と自覚できます。その時に「これは悪いことだ」と考えるのではなく「ああ、自分は今、緊張しているんだな」くらいに受け止めて、その緊張を抑える方法をいくつか持っていればいいんです。
【白戸プロの解説】
スイング軸を体感できるドリルです。朝一番のショットは体が硬いこともあり、スイング軸が保てずスイングスピードが遅くなっていました。そんな時に有効なのが、ドライバーを逆に持ち替えて、ヘッドの方を握っての素振り。インパクト後に「ビュッ」と音が出るようになれば、ヘッドが走っていることも体感できるはず。その感覚を保ったまま、実際にボールを打ってみてください。軸を保ってしっかりと振り切れることで、スイングスピードも上がっているはずです。


小山:そういえば父から教わった「頭を動かさないように」と意識している時は、あまり緊張していないですね。
白戸:その意識はいいと思いますよ。意識をそちらに向けることで、焦りや緊張感が落ち着いて、自分のやるべきことができる。それがルーティーンになれば、大きいミスにはならないと思います。
小山:実は最近、練習場でも、打つ直前に「みんなが見てる!」と思いつつ、良いフォームでスイングができるよう意識しながら練習しています。
白戸:それも良い方法だと思います。いい意味で、自分に暗示をかけるというのも一つの方法。緊張しているという意識を外すために、ルーティーンで自分のやるべきことをやる。意識をそちらに向けられれば、他のことは忘れてしまいますから。山田さんは何かお悩みは?
山田:僕もドラコンの時のドライバーは緊張しますね。
白戸:どうしてだと思いますか?
山田:振り回してしまうと、ボールがどこかへ行ってしまうので...。ハーフスイングくらいで打たないと...。
白戸:そうですね。それではコースに出て、実際にショットを拝見しましょう! 1番は、494ヤードのパー5です。

【STEP 1 】NGエリアを検証する
このホールはOBこそないものの、絶対に回避したいのが右のクロスバンカー。次に入れたくないのが左右の林です(ホール図の×の部分)。左の林ギリギリを狙っていって、フェアウェーをとらえるのがベストです。
【STEP 2 】NGエリアは徹底的に避ける
右のバンカーを避けるあまり、左の林に入れてしまうというケースもよくあります。パー5だからと言って闇雲にドライバーを持って振り回すのではなく、クロスバンカーに届かないクラブ(UTなど)で刻んでいくのも選択肢の一つです。
【STEP 3 】得意クラブの距離を残す
ティーショットをフェアウェーのいいところに打てたら、次は第2打。山田さんは100ヤード前後が得意な距離。状況に応じて、残り100ヤード地点まで打てるクラブを選択することが、パーの確率を高めます。ショートアイアンに自信がない方の場合は、できるだけグリーンの近くまで飛ばせるクラブを選びましょう。


【白戸プロの解説】
今回のテーマは「スコアを10打減らす」です。それを達成するために必要なのが「無理はしない」という心構えです。大叩きをする方に共通するのが、トラブルに直面した際の無謀なチャレンジ。林に打ち込んでしまった時、グリーンに近づきたいという気持ちのあまり、狭いスペースを狙ったことで深みにはまるということはよくあります。木に当たって跳ね返ったボールがさらに林の奥に入ったり、OBになってしまったり。それが1番ホールの大叩きにつながるわけです。
トラブルになった時に大切なのは、安全なルートを見つけて、堅実にフェアウェーに出す勇気。こうした安全策がベストスコアを出す早道になります。

【白戸プロの解説】
山田さんのUTのショットは、ボールを当てることにとらわれすぎて、逆にインパクトでクラブヘッドがボールに届かなくなるようなスイングになっていました。

企業が将来を見据えて競争力をキープしつつ、安定的に成長していくために事業の在り方や経営戦略などを持続可能性の視点から変革していくのがSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)。その象徴的な存在となっているゴルフ場が茨城県にありました。「大みかゴルフクラブ」は時代の流れとともに地域貢献の歴史を積み重ねながら、グループの創業精神を脈々と今に伝えていました。
「大みかゴルフクラブ」と「大みかクラブ」が開場したのは今から90年前。1936年までさかのぼります。
当時の名称は「日立ゴルフ倶楽部」。日立製作所の創業者である小平浪平は、日立村に優秀な人財を集めるため社宅や病院を建設し、企業城下町をつくり上げます。
社員にとって働きやすい環境づくりをめざす小平は、娯楽施設も重視。社員の福利厚生と外国人賓客の接待を目的として、ゴルフ場の建設が計画されました。
用意されたのは東京ドーム約14個分という広大な土地。ここに日本のゴルフ場設計の一大潮流をつくったチャールズ・アリソンを師と仰ぐ名匠井上誠一が18ホール・6650ヤード、パー74のコースをレイアウト。日本では14番目、茨城では第1号のゴルフ場として産声を上げました。
クラブハウスのテラスから雄大に広がる太平洋を眺めることができたことも大きな魅力。当時の井上はこの好立地にダイナミックなシーサイドコースを完成させました。

左が大みかクラブ、右が小平記念館
終戦を迎えると、農地改革で19万坪が政府などに買い上げられ、残ったのはクラブハウスを含む3分の1のみでした。
それでも1950年、3ホールのショートコースができ、ようやく再スタート。以降は段階的に改造拡張を行い、ほぼ現状に近いコースとなりました。現在は8ホールのゴルフ場として営業しています。
冒頭に登場した「大みかクラブ」は最終ホールとなる6番の左奥に見える伝統的な高床式寝殿造りの建物を指します。現在は2021年にオープンした「日立オリジンパーク」の一部として、レストランや展示スペースを備えた「おもてなしの場」として機能。ゴルフプレーヤーでなくても、食事や見学で利用可能です。

大みかクラブラウンジ
「日立オリジンパーク」はこうした施設に「小平記念館」「創業小屋」といった歴史的な施設を加え、再構成された企業ミュージアムです。
日立製作所は2023年12月、日立市と「デジタルを活用した次世代未来都市(スマートシティ)計画に向けた包括連携協定」を締結しました。
かつて企業城下町をつくった小平の思いは今も受け継がれ、「日立市全体の活性化、すべての人が豊かに生活できる安全・安心なまちの実現をめざす」という今回の協定につながっています。
ゴルフ場が一般開放され、パーク全体が地域に開かれた施設であり続けていること。それが地域社会との共生・貢献というサステナビリティの側面を体現しているとも言えそうです。