Hitachi
EnglishEnglish お問い合わせお問い合わせ
メインビジュアル メインビジュアル
Global Trends Report

CES会場内は昨今のブームを反映して
生成AIを含むAIが花盛り

711回表示しました

日立ソリューションズアメリカ社のBusiness Development and Alliance Groupでは、北米を中心としたスタートアップとの協業をめざして活動しており、様々な業界やテクノロジーの最新トレンドを日本側に提供する役割も担っています。その活動の中でオンラインでのリサーチやベンチャーキャピタルとのネットワーキング、各種カンファレンスなどに参加しています。米国ラスベガス で毎年1月に開催される世界最大規模の見本市、CESも情報収集の場の1つです。今回は、CESで発表された新しいソリューションや製品、トレンドについてご紹介します。

※本記事は2024年4月に掲載されたものです。
  • collection29_profile_sasaki_290_290.jpg

    佐々木 雄希

    Hitachi Solutions America
    Business Development and Alliance Group(BDAG) Manager

    ささき・ゆうき/
    日立ソリューションズ入社後、日立製作所製ストレージシステムの管理ソフトウェア開発を経て、2022年5月からHitachi Solutions America出向。

  • collection29_profile_sakamoto_290_290.jpg

    坂元 歩

    Hitachi Solutions America
    Business Development and Alliance Group(BDAG) Business Development Specialist

    さかもと・あゆみ/
    日立ソリューションズ入社後、アカウントエンジニアとして顧客システムのインフラ構築案件に従事。2023年6月からHitachi Solutions Americaにて業務研修中。

日立ソリューションズアメリカ社のBusiness Development and Alliance Group(BDAG)では、北米を中心としたスタートアップとの協業をめざして活動しており、様々な業界やテクノロジーの最新トレンドを日本側に提供する役割も担っています。その活動の中でオンラインでのリサーチやベンチャーキャピタルとのネットワーキング、各種カンファレンスなどに参加しています。

米国ラスベガスで毎年1月に開催される世界最大規模の見本市、CESも情報収集の場の1つです。CESはConsumer Electronics Show をルーツとし、日本では家電見本市とも呼ばれていましたが、現在はその範疇にとどまらず、モビリティや電子機器が関係する様々な製品やサービス、アイデアが披露されています。

collection29_img01_570_380.jpg

メイン会場のラスベガス・コンベンションセンター以外にも複数の会場があり、すべて回るのは至難の業

また、会場内では至る所でAI関連の展示を目にしました。マーケットでは生成AI分野で2兆円以上の金額が動いていますから、CESでも生成AIに関連した展示に力が入っていたのもうなずけます。

CESと他のカンファレンスとの違いは目で見て触れられる機器が多く展示されていることで、特に眼鏡型のウェアラブル端末の進化は目を見張るものがありました。

これまではヘッドセットやゴーグルのような大きな端末が中心でしたが、今回は普通の眼鏡のように軽量で、違和感なく装着できるものが印象に残りました。しかも、小さなデバイスながら画面の向こうにあるオブジェクトもしっかりと認識することができ、技術革新を実感しました。

さて、CESを語る上で外せないのがモビリティの展示です。日本メーカーでは本田技研工業(ホンダ)が新型EV「Honda 0シリーズ」のプロトタイプを出展していました。前述の通りCESは家電がルーツですが、昨今はEVの最新モデルの展示が定着しています。EVは大きなガソリンエンジンを持たないので、車体設計の自由度が高く、趣向を凝らした新しいモデルが出ています。ホンダは今回のCESで新型EV用のロゴマークを初披露したことから、新しいコンセプトを積極的に打ち出したいのだと思います。

また、ソニー・ホンダモビリティはプロトタイプEV「AFEELA」を展示していました。外観はマイナーアップデートということで、2023年と比較してほぼ変わらないのですが、センサーを一新し、車体も新しくなったので、完成度が高まった印象です。さらに、市販までのロードマップが示された他、マイクロソフト社と生成AIを使った対話型パーソナルエージェント開発で連携することも発表されました。

同様の取り組みは他社でもあり、BMW社はアマゾン社の大規模言語モデル「Alexa LLM」を、フォルクスワーゲン社はOpenAIの「ChatGPT」を使った音声アシスタントの採用をそれぞれ発表しています。しかし、BMW社のデモンストレーションでは通信障害で操作がうまくいかない場面もありました。今後はこうした課題を解決していくことになると思います。

一方、韓国からは現代自動車グループの自動車部品メーカーである現代モービス社がコンセプトEVを出展しています。このEVは各ホイールの内側にモーターを配置するインホイールモーターを採用し、自由にかじを切ることができるのが特徴で、今の位置から真横に移動したり、その場で旋回したり、普通の車ではできない動きを実現していました。

collection29_img02_570_380.jpg

現代モービス社のコンセプトEVはインホイールモーターを搭載し、位置を変えずに真横に移動したり旋回したりできる

韓国企業ではLGエレクトロニクス社やサムスン電子社もCESの常連で、メイン会場の入り口付近のLGブースが注目されていました。昨年は同じ場所に曲面ディスプレーがありましたが、今回のディスプレーは透明かつワイヤレスです。透明化自体は新しい技術ではないですが、大々的に展示したことで多くの人の目に留まりました。

collection29_img03_570_380.jpg

LGエレクトロニクス社のディスプレーは透明化すると画面の向こうが透けて見える。ワイヤレスなので視界を遮るコードもない

広大な会場の中で独特の熱気を感じられたのはスタートアップが集結するエリア「Eureka Park」です。

collection29_img04_570_380.jpg

スタートアップが集結する「Eureka Park」。比較的小さなブースがひしめき合い熱気にあふれていた

韓国は国策でCESの出展に力を入れているそうで、Eureka Parkのスタートアップ出展社数の約3分の1は韓国企業で、昨年以上にパワーアップした印象です。デジタルヘルスやAIなど分野ごとにブースが並ぶ区画もあれば、国ごとの区画もありました。国によってブースの色みに特徴があり活気に濃淡があるなど興味深かったですし、日本ブースは総じて展示がきれいで分かりやすかったです。

イノベーションアワードは、出展しているプロダクトの中でデジタル技術やテクノロジー製品の優れたデザインと技術を評価するアワードプログラムです。数ある中でも印象に残ったのは、日本のWILLTEXによるカバン型ポータブルレンジバッグ「WILLCOOK」が表彰されていたことでした。この製品は持ち運べる電子レンジで、専用バッテリーを使えばどこでも食品を温められます。災害の多い日本ならではのアイデアだと思いました。

今年のCESは生成AIを含むAIの展示が全体的に多く、キーノートセッションもAIの話題が中心でした。しかし、農業機械および建設機械のメーカーのジョンディア社は、AI関連の他にも昨年と同様にサステナビリティをテーマにしていました。他にも梱包材削除の取り組みや、食品廃棄を減らすフードテックなどもあり、概念やコンセプトレベルの展示が多かった昨年に対して、今年は実際の製品やサービスに組み込んだ展示が多くありました。サステナビリティは今後より一層具体的なソリューションになっていくと思われます。

前の記事
記事一覧
次の記事
twitter facebook
その他のシリーズ
おすすめ・新着記事
PICKUP