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技術レポート

モダナイズ・ジャーニーの伴走者として企業の既存ITを見直しDXを加速する

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DXに注力する企業が増える中、既存システムによる課題が改めて注目されている。日立ソリューションズの研究戦略部が注目したのは、ITのモダナイズだ。迅速かつ効果的にDXを推進するためのSIビジネスに貢献する技術の研究について話を聞いた。

※本記事は2024年1月に掲載されたものです。
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    松本 俊子

    日立ソリューションズ
    経営戦略統括本部 経営企画本部 研究戦略部
    部長

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    川島 智弥

    日立ソリューションズ
    経営戦略統括本部 経営企画本部 研究戦略部
    技師

―研究戦略部のミッション、業務の内容についてうかがいます。

松本:経営戦略と事業に資する研究戦略を検討するとともに、その推進を担うのが研究戦略部のミッションです。具体的には、技術の将来動向を踏まえつつ注力技術分野の見定めや、研究開発投資のとりまとめ、先進技術の評価なども行っています。こうした取り組みを進める上で、個々のテクノロジーをいかに事業に適用するか、そのためにはどのような施策が求められるかといった議論や検討も欠かせません。

―研究戦略部の活動の1つ「DXを推進するためのSIビジネスに貢献する技術の研究」について、背景、概要を教えてください。

川島:今、社会全体でDXへの関心が高まっており、当社にも多くのお客様からDX関係のご要望が届いています。ただ、SoR(System of Record)を中心とする既存システムが、長年の改修などを経てブラックボックス化しDXの足かせになっている場合が少なくありません。例えば、顧客体験の向上をめざしてSoE(System of Engagement)の新システムを導入する際、受注管理などSoR分野のシステムとの連携が容易でなく、十分な効果を創出できないといったケースが挙げられます。当社は、SoRのシステム開発で多くの実績を持っていますが、近年はSoEにも注力してきました。両方の経験と技術を活用することで、お客様のDXをより効果的に支援できます。支援に際しては、既存システムをDX推進の準備が整った状態にしておくことが理想的です。言い換えれば、ITのモダナイズです。

―既存システムをモダナイズすることで、DXの効率や効果を高めることができる。そうした取り組みを支援されるんですね。

川島:モダナイズを推進する個々のプロジェクトについては、当社の各事業部がお客様をサポートします。研究戦略部としては、特定の産業に依存しない俯瞰的な視点からモダナイズの方法論やノウハウを整理・体系化し、それを各事業部が手がけるプロジェクトを通じてブラッシュアップしていきたいと考えています。

マイクロサービス化だけが「解」ではない

―ITのモダナイズは、どのようなプロセスで進むのでしょうか。

松本:最初の入り口は、お客様のITシステムの現状を理解することです。その上で、どのようなDXをめざすのかを明確にし、目標を達成するための戦略をお客様とともに描きます。そして、その戦略に沿ってモダナイズを推進するのです。お客様の課題やDXで実現したいことは様々なので、「何が最も優先度が高いか」「何をすれば効果的か」について話し合いながら、モダナイズを進める必要があります。既存システムの一部をモダナイズして一定の成果を上げた後に、別の部分のモダナイズに取りかかることもあるでしょう。そんなお客様のモダナイズ・ジャーニーを支援するパートナーでありたいと私たちは考えています。こうした一連のプロセスを円滑に進めるケイパビリティを得るために、研究戦略部として様々なノウハウをまとめた各種ガイドなどを策定しているところです。

―DXのためのモダナイズの手法についてうかがいます。

川島:企業の関心が高いのは、マイクロサービス(※)化です。確かに、マイクロサービスは頻繁なシステム改修にも対応しやすく、DXと親和性の高いアーキテクチャーです。当社でも、マイクロサービス導入に関するご相談をお客様からいただく機会が増えています。ただ、それがDXに必須というわけではありません。既存システムのマイクロサービス化に要するコストを考慮しつつ、実施する価値があるかどうかは慎重に吟味しなければなりません。マイクロサービス化しなくてもDXを実行する手法はあります。例えば、既存システムをそのままクラウド移行した方が高い費用対効果を期待できる場合もあります。当社としてはお客様のビジネス特性やめざす方向性、ITシステムの状況などを踏まえて、議論しながら将来的なマイクロサービス化も視野に入れた最適なモダナイズ戦略を提案していきたいと考えています。

※複数の小さなサービスを組み合わせて、1つの大きなアプリケーションを開発するアプローチ

ビジネスやITの課題を共有してモダナイズを支援

―モダナイズやDXを支援する対象は、主にどのような企業を想定していますか。

川島:まずは、当社がこれまでシステム開発でお手伝いしてきたお客様がメインになると思います。お客様のビジネスやITをよく知っているメンバーが各事業部にいるので、その経験や知見を活かすことができます。そこから少しずつ、対象となるお客様を広げていきたいですね。

―研究戦略部で整理したノウハウを適用したモダナイズ事例はありますか。

川島:現在、モダナイズ戦略を立てる前段階として、ITシステムのモダナイズ状況を可視化すると共にモダナイズの難易度評価や推奨モダナイズアプローチを提言するソリューションを立ち上げようとしており、プロジェクトを一緒に進めていただけるお客様を探しています。また当社は技術や方法論に実績があり、どんな技術を導入すべきか悩んでいるお客様に、技術の評価や分析の手法を提供することも可能です。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

松本:お客様のモダナイズをサポートしつつ、その方法論やノウハウをさらに磨いていきたいですね。そして、お客様の課題を深いレベルで共有した上で、お客様のDXとモダナイズに伴走していきたい。いうまでもなく、こうした取り組みを現場で担う人財の育成は重要です。研究戦略部としては人財育成を支えるノウハウの体系化も進めていきたいと考えています。

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